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糖尿病との賢いつきあい方

なったら、インスリンの量と生活習慣をきっちりコントロール。
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 糖尿病と診断されても悲観するには及びません。きちんと治療して合併症を防いでいけば、健康な人と変わらない生活の質や寿命をめざすことも十分可能だからです。
 1型糖尿病の場合は、原因がハッキリしていますし自覚症状もありますから、インスリン注射を上手に使いこなして、低血糖にも高血糖にもならないようコントロールすることが目標になります。
 問題は、生活習慣に原因があり、自覚症状に乏しい2型の場合です。なぜインスリンの作用が足りなくなったのか、きちんと理解しないと、コントロール不良で合併症を引き起こすことになります。
 脂肪細胞が「食いだめ」をすることは最初に説明しました。ためた分を毎回使い切れば問題はないのですが、現代は飽食の時代ですから、使い切る前に次の食事が入ってきて、だんだん脂肪細胞が太ってきます。いわゆる「腹に脂肪がついた」状態です。
 こうなると細胞の方で「もう糖は結構」というシグナルのホルモンを出し、筋肉や肝臓でインスリンの働きが障害される状態(インスリン抵抗性)が起きてきます。しばらくはβ細胞が頑張ってインスリンの量を増やし、なんとか言うことを聞かせます。でも結果、さらに細胞が太って、一層インスリンの指令に従わなくなり、やがて頑張りすぎたβ細胞が参ってしまうわけです。
 ただし、β細胞の強さには個人差があり、肥満イコール糖尿病ということではありません。あまり太っていないのに糖尿病になってしまうことも、その逆もあります。家族に2型糖尿病の患者さんがいる人は、β細胞がひ弱な可能性が高いので要注意です。
 以上のことから、2型糖尿病を改善するには、インスリンが少なくても済むような生活をめざせばよいということが分かります。
 具体的には、まず食事療法、運動療法から始まります。食事の総摂取カロリーを低くすれば血糖値は上がりにくくなりますから、インスリンが少なくても足ります。ただし必要栄養素まで足りなくならないよう、バランスには気をつける必要があります。また、一度にまとめて食べるとインスリンが多く必要になりますので、少なくとも3度に分けてちょっとずつ規則的に食べるようにしましょう。
 感覚的には、お腹が空いて仕方ないかもしれませんが、脂肪がついたということは、今まで食べすぎていたということ。慣れるまで、しばらくの辛抱です。
 また、筋肉を使うとエネルギーを消費すると同時にインスリンもよく効くようになるので、運動は非常に大切です。

GI値とは、この世界の言葉です。  GI値(グリセミック・インデックス)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは食品による血糖値の上がりやすさを示すもので、GI値の低いものを食べた方が、同じカロリーでもインスリンの量が少なくて済みます。  玄米よりは白米、黒砂糖よりは白米といったように、精製されて純度の高いものほどGI値が上がります。  低GI値ダイエットなるものもありますが、カロリー量は変わりませんので、食べ過ぎれば間違いなく太ります。
ペットボトル症候群を知っていますか?  特に夏場、甘い清涼飲料水を何リットルも飲んでいる人はいませんか。清涼飲料水はGI値が極めて高いので、糖尿病の体質を持つ人は突然糖尿病を発症する危険があります。最近そういう人が増えていて「ペットボトル症候群」という名前までついています。ご家族、特に子供さんでそういう行為を見つけたら、すぐにやめさせましょう。ちなみに100%の果汁ジュースでも同じ危険があります。


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