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ストップ!! 医療崩壊2

医療「被害」はADRで解決を
21-2.1.JPG 法律は常に一定で揺るぎないものだと思っている方がいるかもしれませんが、実際には人間が運用していますので、時と場合によって解釈が変わります。
 警察や検察が、ある事象を刑事事件として立件するかしないか、実は被害者感情がどれだけ峻烈かによっても判断が左右されます。そもそも刑法の目的は社会の安定を図ること。恨みを呑んだまま癒やされない人が大勢いると、社会が不穏になるからです。
 つまり近年、医療事故が刑事事件として積極的に取り扱われるようになった背景には、医療で「被害」を受けたと感じ、しかも癒やされていない患者や家族の存在があると考えられます。
 「被害」の原因、「癒やされない」原因が医療側にあるのなら、このように運用されるのも仕方ないかもしれません。しかし実際には、誰が悪いのでもない被害も少なくありません。また、「癒やされない」のは訴訟の限界(上図右参照)だったりもします。
 どう考えても、医療事故を積極的に立件することが、医療者の心を折って医療崩壊をさせる程の公益とは思えません。とはいえ、癒やされない患者や家族を放置してよいはずもないのです。ここは医療崩壊を止めるため、新しい紛争処理の方法(裁判外紛争処理システム=ADR)が必要ではないでしょうか。
 実は現在、この問題に関して厚生労働省でも制度設計が始まっています。また、7月の参議院議員選挙をにらんで与野党とも知恵を絞っており、一つの争点になる可能性があります。皆さんの声によって、制度設計の変わる可能性が十分あるのです。
 私たちは、必要なシステムは下図のようなものだと考えます。皆さんは、どのようにお考えになりますか?
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