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「高脂血症」あらため脂質異常症です。 よろしく。

原因は何? どうやって診断するの?
22-1.2.JPG では脂質異常症の診断はどのようにするのでしょう。
 この疾患は、他の生活習慣病と同じように、心血管疾患など深刻な発作のリスクが高い状態を前もって見つけ出し、発作が起きないようコントロールする、そのための概念的なものです。つまりリスクが高いというだけで、別に痛くも痒くもないのが普通です。
 ということで診断は自覚症状にはよらず、血液検査で行われ、LDLコレステロール値、HDLコレステロール値、トリグリセライド値が調べられます。そして治療が必要かどうかは、加えて他のリスク要因も考慮されます(表参照)。既に冠動脈疾患の発作を起こした経験がある場合は、より厳密な管理が必要になります。
 ガイドラインが改定されるまでは、LDLコレステロール値とHDLコレステロール値とを足し合わせた「総コレステロール値」も基準になっていましたので、ご記憶の方も多いと思います。血中にコレステロールが多すぎるのが動脈硬化の原因であるなら、その総量を見るのは理にかなっている気もします。なぜ変更されたのでしょうか。
 実は近年大きく研究が進歩し、HDLは、血中や血管壁のコレステロールを回収するための入れ物で、少ない場合は血中にコレステロールが停滞していることになり、かえって問題だということが分かってきたのです。
 かつての基準だと、実際には善玉のHDLに含まれるコレステロールが多い場合でも、病気として治療の対象にしてしまう可能性がありました。だから今回改定されたのですね。
 さて基準が分かったところで気になるのは、LDLコレステロールや中性脂肪が増えてくる原因、 あるいはHDLコレステロールが減ってしまう原因だと思います。
 これについては、主に食べすぎと運動不足が悪いと考えられます。
 勘違いされがちですが、中性脂肪になるのは食物中の脂肪だけではありません。余分なカロリーは、中性脂肪の形で血中を移動し脂肪細胞に蓄えられます。体内にあるコレステロールの8割は体内で合成されたものなので、脂肪やコレステロールだけ控えても効果は望めません。摂取カロリーそのものの抑制が大切です。
 逆に、運動で中性脂肪を消費するとHDLが増えます。運動不足の場合、カロリーが余って内蔵脂肪を増やすだけでなく、HDLが増えない原因ともなるわけで、運動がどれだけ大切か分かります。
 このほかの原因として、別の原因疾患によって脂質異常の起きている二次性のもの、遺伝的な家族性のものもあります。

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