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ストップ!! 医療崩壊3 医療者が足りない

どうしたらいいの?

 人手不足が患者の身の危険に直結し、それが医療者の離職を呼ぶので、さらに人手不足になるという悪循環をご理解いただけたと思います。危険でも構わない、何があっても医療者を責めないと割り切るのでなければ、人手不足への本質的な処方箋は、病床あたりの人数を増やすしかありません。
 では、どうしたら増やせるでしょうか。
 まず最も根本的なのは、それだけのスタッフを病院が持続できるだけのお金が必要ということ。赤字になってしまっては持続不能です。これには、国の医療費抑制政策を転換させる必要があります。方針転換は官僚の仕事ではなく、政治家の仕事であり、その政治家を動かすのは有権者である私たちです。公共事業には雇用対策の面もあるとの主張がありますが、だったらその分の費用を医療に入れてもらって、病院で雇用してはいかがでしょう。
 ただし、既存の診療報酬体系では、医師・看護師以外のスタッフが増えても病院の収入は増えません。実際たとえば薬剤師は、新しく資格を取った人のうち2割強しか医療機関に就職できていません。働き口がないのです。
 ですから、この体系のままだと、収入につながる医師・看護師をできるだけ多く雇って、その代わり、本来は他のスタッフがやるべきことまでやらせようとの力学が働くことになります。それ以外の職種を増やした場合も収入増につながる工夫は必要です。
 さて、根本的にはお金が要ると言ってみたものの、すぐお金が湧いてくるのではない以上、当面は医療者の離職を止めることが最優先になります。
 医療者が学校を卒業後どのように働いていくか追跡してみると、病院をひとたび辞めてしまった場合、家庭へ入ったり他職種へ転職してしまったりして、病因にはほとんど戻ってきません。医療は日進月歩で、一度外れると追い付くのに相当の努力を要します。精一杯やってもダメだったと感じて離職していく人も多いので、もう一度努力する気力がなかなか湧かないようです。
 能力が同じだったら、何年間か同じ病院で働いている人の方が、初めて働く人より生産性が高いに決まっています。だから、離職させるのは二重にもったいありません。
 よって、今働いている人たちが困っていることを改善すれば大きな意義があります。
 まず労働条件です。医師を過労死させないため、その労働時間を労働基準法の枠内に収めたいところです。シフトを組むと、1病院1診療科あたり医師が最低4人必要になります。
 1人しかいないような病院がゴロゴロある現状とかけ離れているので気が遠くなるかもしれませんが、それが患者自身の安全のためでもあります。そもそも、普段から医師を限界まで働かせていると、大地震や新型インフルエンザなどの災害時に突発的に出現する要治療者を見殺しにすることになります。
 お互い様の危機管理として、労働基準法を守れるよう、医師を中核病院に集約しなければなりません。結果的に皆さんの近所から病院が消えることになるかもしれませんが、その場合、当座は総合医のいる診療所受診や保健師への相談でしのいでいただく必要があります。その意味で総合医の教育・養成、保健師の役割見直しも急がれます。近所の病院がなくなるのは絶対に嫌だと言うなら、その病院の医療者が離職しないよう協力することが大切です。
 というのも、医療者を悩ませているもう一つの大きなものが、患者や家族との紛争だからです。100%防ぐことは不可能です。不幸な結果が出た際に、患者側も医療者側も理不尽な目に遭わないシステムを社会全体として準備する必要があります。何が必要かは改めて特集します。
 ただし、どう考えても理不尽でしかない要求をする患者・家族も一部に見られ、その行為は他の患者全員を危険にさらすことになり言語道断です。医療者には毅然とした対応が求められますし、患者側も医療者を守ることが、ひいては自分の身を守ることになると覚えておいてください。

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