文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

意外と厄介 慢性頭痛

命にかかわる頭痛と、ひたすら苦しい頭痛。

 さて本題に入ります。頭が痛いという時、特に重篤な原因疾患のない一次性のものと、重篤な原因疾患があって引き起こされている二次性のものとがあります。
 重篤な原因疾患とは、くも膜下出血、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎や危機的な高血圧のことで、当然のことながら原因疾患を速やかに治療しなければなりません。
 実際の場面では、二次性の頭痛の可能性があるかどうかまず簡易に(図参照)調べて、可能性があるとなったら、すぐに精密検査することになります。命にかかわりますので、よく覚えておいてください。
 とはいうものの、たいていは一次性のものです。そして一次性のものの中には、二日酔いやちょっと疲れたなど原因が分かりやすく一時的に起こるだけのものと、原因があまり明確でなく繰り返し起きる慢性頭痛とがあります。一次性のものは、命にかかわることはまずありません。
 ただし、前項をお読みいただいた方は既にピンと来ていると思いますが、慢性頭痛というのは本人にとっては大変苦痛であるうえに、放っておいて良くなるという類のものではなく、また社会との関わりの障害ともなるので立派な病気です。しかも、この慢性頭痛に悩んでいる方は、なんと日本人の3割もいると言われています。
 外からは当人の苦しさが分かりづらいため仮病や気のせいと思われることもあり、それが一層当人を苦しめる悪循環となることも多いようです。
 逆に、適切な診断と治療を行って痛みを軽くすることができれば、大いにQOL(生活の質)の向上が見込まれますので、くよくよ悩むよりも、ぜひとも頭痛に強い医師の受診をしてみてください。
 なぜ「頭痛に強い」と注釈を入れるかというと、一口に慢性頭痛と言ってもいくつかの種類があり、その判別を間違えたりすると治療が逆効果になる可能性もあるからです。
 そして、医師がきちんと診断をつけるには、患者自身の申告がとても大切になります。次頁表のようなことを記録し、確実に伝えましょう。
 次項では、慢性頭痛のタイプとその鑑別法をお伝えします。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ