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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

みんな悩んでる 尿のトラブル

過活動膀胱ってなに?

 排尿の悩みで一番多いのが、過活動膀胱です。カカツドウボウコウ? 耳慣れないかもしれませんが、症状はよく聞くものです。
①尿意切迫感
急に尿意をもよおし、漏れそうで我慢できない。
②頻尿
トイレが近い。夜中に何度もおしっこに起きる(夜間頻尿)。日中8回以上、夜間も2回以上なら疑いが濃厚。
③切迫性尿失禁(尿漏れ)
急におしっこをしたくなる。トイレまで我慢できずに漏れてしまうことも。
 40歳以上の男女の8人に1人に、過活動膀胱の症状が見られるという調査報告もあります。その半数に切迫性尿失禁があるとのことです。
 気になる過活動膀胱の原因ですが、以下が考えられます。
 まずは、脳と膀胱(尿道)の筋肉を結ぶ神経のトラブルによるもの。たいていは脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、脳の障害、あるいは脊髄の障害の後遺症です。「膀胱に尿がたまったよ」「まだ出してはだめ」「もう出してよし」といった信号のやりとりが正常に働かず、結果、膀胱に尿が少ししかたまっていなくても出そうとしたり、膀胱や尿道を「締める」「ゆるめる」の連携がうまくいかなくなってしまうのです。
 また女性の場合、加齢や出産から、膀胱・子宮・尿道等を支える「骨盤底筋」という筋肉が弱くなったり傷んだりすることがあります。すると排尿がうまくコントロールできなくなってしまいます。
 そして実際のところ一番多いのは、単なる加齢による調節機能の衰えだったり、原因の特定できないケース。何らかの原因で膀胱の神経が過敏にはたらいてしまうなど、複数の要因がからみあっていると考えられています。

検査も治療もいろいろあります

 心あたりのある人は、やはりまず医療機関を受診しましょう。問診では、どんな症状で困っているのかを具体的に伝えてください。「過活動膀胱症状質問票」に記入しながら症状の程度を調べ、あわせて腹部エコー検査(残尿量の測定)、血液検査、尿検査なども行います。さらに調べるには、尿流測定(1回の排尿時間や尿の量、勢い、パターンを測る)や、時間を区切って漏れた尿の量を測るパッドテスト、咳やいきみで尿が漏れるか実際にやってみるストレステストなどを行います。排尿日誌をつけて様子を見ることも指導されるでしょう。
 治療方針もいろいろです。
 薬物治療では、主に「抗コリン剤」が使われます。尿漏れは、膀胱が収縮して尿が押し出されておきるものですが、膀胱への収縮の信号となっているのはアセチルコリンという物質。そこでアセチルコリンの働きを弱める薬を使うのです。飲み始めて1週間~1ヵ月で効果が現れます。
 一方、機能の弱まった膀胱や骨盤底筋を鍛える行動療法を取り入れると、症状をより軽くすることができます(コラム参照)。また、電気や磁気で刺激を与えて、骨盤底筋の収縮力を強化したり膀胱や尿道の神経の働きを調整する電気刺激治療も行われています。

膀胱訓練で排尿コントロール力を  尿意切迫感や尿漏れを気にして、尿が少ししかたまっていないのにトイレに行くクセをつけてしまうと、膀胱が過敏になって尿をたくさん蓄えることができなくなってしまいます。尿トラブルがより悪化してしまうのです。そこで膀胱に尿をためる訓練をして症状を改善させます。まずはトイレへ行くのを少しだけ我慢。最初は5分くらい、1週間ほど続けます。しだいに10分、15分と、我慢する時間をだんだん延ばしていきます。排尿日誌をつけると傾向がわかり、尿トラブルの頻度の高い時間帯に訓練の時間を合わせるなど、対策が立てやすくなります。いずれにしても、医師に相談して正しい指導のもとに始めてみましょう。


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