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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

中医協って知ってる?

46-2-1.JPG日本の医療は、誰がどのように決めているのでしょうか。ひょっとして、私たち国民の目に見えないところで決まっているのではないでしょうか?
監修/黒木副武 埼玉みさと総合リハビリテーション病院院長
     大竹秀樹 板橋中央総合病院本部事務局事務長

何をするところ?

 中医協―。いきなり聞き慣れない言葉でごめんなさい。「ちゅういきょう」って読みます。正式名称は「中央社会保険医療協議会」です。「協議会」となっていますが、NPОなどの団体ではありません。東京・霞が関の厚生労働省内の会議室で、ほぼ1か月に1回のペースで開催されている審議会です。
 いったい何を決める会議でしょうか? 簡単に言えば、医療の値段を決める会議です。私たちが、病院で診察や検査を受けると診療費が発生しますが、保険証があれば窓口で支払うのはその一部。残りの分は、医療保険から病院に支払われます。
 医療保険は、健康保険に加入している人たちから集めたお金ですので、税金と同じように公的なお金です。そこで、どんな治療にいくらを支払うかをあらかじめ決めておくのです。例えば、「初診料270点」(1点は10円という具合に、病気になったときに必要な医療の値段を決めます。
 個別の診療行為の価格は、「診療報酬点数表」に収録され、2年おきに更新されます(診療報酬改定)。このため、中医協は「診療報酬改定を議論する場」と言われることが多いのですが、実は、日本の医療政策の方向性を左右する重要な会議でもあるのです。
 ここで質問です。もし、あなたがレストランやホテルを選ぶ場合、どのようにして決めますか? 雰囲気や値段、食事などのサービス内容を比較して決めませんか? また、商品を購入する場合には、値引き交渉をすることもあるかもしれません。「売ります」「買います」という合意は契約ですので、価格も双方の話し合いで決めることができます。
 ところが、医療サービスの値段は、電気代や水道料金などのように「公定価格」ですので、「もっと手術代を安くしてください」とお願いしても、病院の都合で値段を変えることはできません。患者と病院が直接交渉するのではなく、診療報酬を受け取る医療機関側の代表者と、診療報酬を支払う医療保険側の代表者らが集まって話し合いをして、一括して決める仕組みになっています。
 「本当に決められるの?」という疑問を持つ人もいるかもしれません。何しろ検査や手術、薬の種類は膨大です。現実にも「これはいくらにしよう」という細かい議論はあまりしまません。
 むしろ、これまで無料で提供してきたサービスを新たに有料にしたり、新しい仕組みを導入したりするなど、今後の医療の方向性にかかわることを議論します。
 ある医療サービスの価格が変わると、病院もそれに応じて変わろうとする動きになります。今まで診療報酬を受け取れていたサービスが廃止されてしまえば、病院はそのサービスを控えるようにするでしょう。つまり、診療報酬がどのように決まるかは、私たちが受けられる医療に大きく影響するのです。

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