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あるのに使えない2

ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン

先進国で日本だけ 自費かつ供給不足

このコーナーでは、様々な原因で医薬品や医療機器のラグ・ギャップに悩む患者の方々に、どういうことで苦しんでいるのか、直接書いていただきます。

 世界第2位の経済大国である日本が「後進国」だといわれたら、皆さんは信じられますか? 「そんなはずはない」と思う方が多いのではないでしょうか。しかし、残念ながら日本は「ワクチン」については紛れもなく「後進国」なのです。
 細菌性髄膜炎という主に5歳未満の乳幼児が罹る病気があります。日本では毎年約1000人が罹っていて、適切な治療を受けても、約5%が死亡し約20%に後遺症が残ると推計されています。毎年約50人が命を落とし、約200人が後遺症を負っていることになります。
 日本の細菌性髄膜炎の原因となる細菌は「ヒブ(Hib=インフルエンザ菌b型)」と「肺炎球菌」が多く、この2つが9割近くを占めます。幸いなことにこの2つの細菌には有効なワクチン=「ヒブワクチン」「小児用肺炎球菌ワクチン」が存在します。2つのワクチンは多くの先進国では既に定期接種化されていて、細菌性髄膜炎は「過去の病」となっています。
 世界保健機関(WHO)も、これらのワクチンの有効性と安全性を高く評価し、ヒブワクチンは98年に、小児用肺炎球菌ワクチンも03年に、「すべての子どもたちに接種すべき」と加盟国に勧告しています。ところが日本ではいずれのワクチンも定期接種化されていません。
 日本でのヒブワクチンの承認は07年でWHOの勧告から約10年も遅れました。小児用肺炎球菌ワクチンの承認も09年で約6年遅れています。日本が世界で標準的に使われているワクチンが使えない「ワクチン後進国」といわれるのもやむを得ないのです。
 さらに問題なのは、日本では承認されたからといってすべての子どもたちがワクチンを打てるようになるわけではないということです。現在、三種混合ワクチンや麻疹、ポリオ等が定期接種されていますが、ヒブワクチンも小児用肺炎球菌ワクチンも、定期接種ではなく接種希望者が全額を自己負担する任意接種です。2つのワクチンとも、自己負担額は3万円とも4万円ともいわれていて、子育て世代の保護者にとっては決して軽くない負担です。保護者の経済力によって子どもがワクチン接種を受けられないという先進国は日本だけでしょう。
 また、ワクチンそのものも供給量が不足しています。定期接種化されていないため、何人の子どもたちが接種を希望するのか、予測が大変難しく、ヒブワクチンはメーカーの需要予測を大きく上回る接種希望者が生じたため、数カ月から1年も待たなければ接種できない状態です。残念ながら接種を待っている間に細菌性髄膜炎に罹ってしまう事例も生じています。
 ワクチンで防ぐことのできる疾病から子どもたちを守る、という世界標準の国に近づけるように、多くの方々に「ワクチン後進国」の実態を知っていただきたいと思います。

(細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会・事務局長 高畑紀一)

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