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情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
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がん⑩ こんなに多様な医療スタッフ


検査から治療まで

 まず、すべてのタイミングで患者さんを支援するのが、看護師です。
 法律で、傷病者に対する「療養上の世話、又は診療の補助」を行うと規定されています。
 具体的には、検温・測脈・血圧測定・問診・記録、点滴・注射、与薬と説明、食事・排泄・移動の介助、各種検査の説明、退院後の生活の教育・指導などなど、とても多岐にわたります。患者さんの精神的ショックや治療への不安を受け止めるのも重要な任務です。
 患者さん一人ひとりの状況を総合的に把握しているのが看護師の強みです。最も身近で頼りになる存在ですね。患者さんを支援する人ですから、伝えたいことや相談したいことがあったら遠慮せずに話して下さい。
 次項以降に説明する治療のあらゆる段階で、常に大活躍します。
 なお、日本看護協会は、がん医療の深い知識を持ち、患者さんの状態を見極める判断力や高いコミュニケーション力でチーム医療の調整役になる他、患者さん、医療者、家族間の橋渡しも行う存在として、がん医療専門看護師を認定しています。また、領域ごとに認定看護師という資格も設けています。これら専門・認定看護師の知識や技術は、多くの看護師に共有されています。

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分野ごとにいるスペシャリスト

 治療に流れに沿って説明していきます。
 がんが疑われて最初に関わるのが臨床検査技師と診療放射線技師。臨床検査技師は血液・尿検査など裏方として、医師の迅速かつ適切な診断をサポートします。診療放射線技師は、X線やCT、MRIなどの検査を担当します。他にも、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士や、がん細胞を見極める細胞検査士などがいます。
 検査結果から、診断と治療方針が固められ、いよいよ治療に入ります。
 がんの根治的治療の代表例が手術です。大がかりな機器を用いる手術の場合は、臨床工学技士が医師をサポートします。
 昨今は、放射線照射も根治的治療として大きな割合を占めてくるようになりました。診療放射線技師が、医師の指示に従って照射機を操作します。医療機関によっては、放射線治療物理学を修めた医学物理士が機器や治療計画のチェックを行います。
 薬による化学療法を支えているのが薬剤師です。特にがん専門薬剤師・がん療法認定薬剤師は、患者さんの状態を把握し、適切な薬物療法を安全に提供する責務を負っています。時には医師の薬物治療計画や患者さんの意思決定から関わり、合併症の治療、抗がん剤の副作用を軽減する治療、痛みへの緩和ケアに携わり、情報提供まで行います。
 なお、栄養管理が大変重要だということは、2011年7月号で既にお伝えしました。管理栄養士や栄養サポートチーム専門療法士といった人々が活躍しています。

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