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特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

役所を怖がりつつ、すり寄る 医療業界は自立していない

梅村 でも、医系技官制度を、皆ありがたがってるでしょう。

小松 誰が?

梅村 医療関係団体とか。なぜありがたがってるか、分かりますか。

小松 既得権を守ってくれるからでしょう。

梅村 それもあるかもしれませんが、役所を攻める側からすれば、ターゲットがはっきりしているんですよ。要するに、そこだけ陳情しといたら、とりあえずは何とかなるじゃないですか。いわゆるキャリアみたいに、医政局だ社会・援護局だと行ったり来たりしたら、ターゲットが分散するからやりにくいんですよ。だから医系技官制度というのは、役所にものをお願いする立場からすれば、すごく良い制度なんですね。医系技官そのものがどうこうじゃなくて、この人事体系のとこだけ攻めておけばいいということですからね。

小松 少人数に陳情してるから、彼らの権力が強まるんですね。医系技官が問題なのは、個人の裁量権のある権限をすごく望むことです。個人の裁量権が大きいと、専制的になるし、腐敗も起きます。補助金なんかも裁量でやる。客観的な数字でやる方が健全です。予見性を高めて配分される側が補助金を計算できるようにすべきです。補助金を消費税の増収分を使ってやるって、あれ要は、病院からお金を取り上げて苦しくさせておいて、さあ言うことをきけと、つまらん金の使い方をさせるようになるんですよ。

梅村 泳げないようにしておいて浮き輪を投げるみたいなものですね。これ、患者が自律したら、少しは状況が変わるものでしょうか。

小松 自律するには知識が必要ですが、医者がそもそも素人向けに正確な情報を全然出してないし、医者の無責任が大きいですよね。

梅村 先生と意見が少し違うかもしれないんですけど、患者の自律と言う限りは、例えば広告規制なんかはちょっと見直すべきだと思ってるんですよ。今の日本で、まず比較広告はダメだし、医療の内容のことも色々と制限がある、ホームページもそれに従わないといけないという状況ですよね。この状況下で、患者さんに選んでもらうとか行動変容しろという方が無理でしてね。で、広告規制に関してはものすごく厚生労働省が堅いのですが、状況が昔と違うんですよ。昔は広告と言ったらCMとか駅に張り出す年何百万円、何千万円もするような大きな看板で、そんなもので比較広告とか打たれたら、結局その広告の方に公的医療であるお金が取られちゃうと。それは本来営利じゃない医療機関がやるのはおかしい、という論議で禁止してたんですよ。ところが今ね、ホームページを作るくらいのお金は要りますけれど、誰でもホームページを安く作れるんですよ、前提が全く変わってきてるんで。僕は、医療側からの情報の出し方を、もっと自由にしてもいいんじゃないかと思います。でないと、結局最終的にはそれを逆手にとられたのが、サ高住等で問題になっている営利企業による「患者紹介ビジネス」です。「患者紹介ビジネス」なんて患者の自律の真逆の話ですから。

小松 どう実現するかは難しいところですけれど、やったらいいと思いますよ。問題は、ヒドイのをどうやってチェックするか。

梅村 それは確かに問題ですよね。自由診療の世界ではそういった問題も起きていると聞きます。ただ何しろ今は患者さんが自律しようにも、そのためのツールがないわけですよ。かかりつけ医制度っていうのが始まってますけれど、なかなか住民の方が皆、かかりつけ医制度に乗ってきていないじゃないですか。やっぱりちょっと患者さん側が分かってるんですよ。A先生の所へ行ったら、多分この病院の系列の所にしか紹介してくれない、あの先生は本当は専門が○○なので、自分の場合は△△だから、違う先生のところに行ってみようとか、結構、あうんの呼吸で器用に患者さんも動いているんだと思いますよ。でもすべての患者さんが、すべてのことを体系的に理解できているわけではありませんのでね。なかなか難しいところです。
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