文字の大きさ

過去記事検索

情報はすべてロハス・メディカル本誌発行時点のものを掲載しております。
特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

歯が痛い どうして? ~年間シリーズ口から人生を豊かに③

根の痛みは色々良くない

 歯の根っこの方に痛みを感じるという場合もありますよね。歯肉の下で骨に埋まっている限り、その部分の歯髄に外から刺激が届くということは起こりづらいので、つまり根っこが露出しているからこそ痛むということになります。

 根っこが露出するのは、顎の骨が溶けて歯肉も痩せた結果です。つまり歯周病が、ある程度進行してしまっている可能性は高いと考えられます(歯周病の簡単なメカニズムは、132号に掲載済みです)。これだけでも充分、歯科受診に値します。

知覚過敏とは

 なお、根っこの部分の痛みの原因として、むし歯によるもの以外に、知覚過敏によるものも考えられます。

 冠と根で大きく違うのは、表面をエナメル質より弱いセメント質が覆っており、露出した段階で既に表面には象牙質しかなくなっているということです。象牙質には象牙細管という細かな穴が数多く空いているため、特に歯が侵されていなくても、歯髄に刺激が届いてしまうのです。これによって、むし歯でないのに痛む、ということが起こります。これが知覚過敏です。

 なお歯周病の原因となるプラークは、歯髄に刺激を与える「酸」も作ります。プラークを放置しておいて良いことは何もないので、根っこに痛みを感じたら、すぐ丁寧にお手入れして除去しましょう。

 知覚過敏の場合、歯科受診せず、歯磨剤などで象牙質の穴を埋めていくことによって痛みを感じないようになることもあります。ただし気をつけなければならないのは、強い力で歯磨きすると穴が塞がらないばかりか、削ってしまうことにもなりかねないことです。

早く歯科医へ

 そもそも歯髄への刺激に対して痛みを感じること自体は、知覚過敏もむし歯も一緒で、つまり自覚症状だけで区別するのは相当困難ということになります。

 根の部分は、歯の構造として、表面から歯髄までの距離が、歯冠部より近くなっています。そのむし歯も、歯冠部に出来たむし歯より早く、歯髄に到達する可能性が高いことになります。

 少しでも違和感を覚えたら、先延ばしせず歯科医に受診ましょう。


  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
掲載号別アーカイブ