ようやく・・・、第6回

投稿者: | 投稿日時: 2006年09月04日 10:39

前回までのお話はこちら。

痛み止めに加え、栄養補給の点滴に頼らなければ
真っ当な生活ができなくなっていた。
東京と福岡を行ったり来たりという出張が
痛み疲れの私に追い討ちをかける。
空港の鏡でみた自分の顔色の悪さにぎょっとした。

食べては痛くなる、痛くなるから食べられない
その悪循環に疲れ果て、本当は何もする気が起きない。
そんな気持ちを奮い立たせて仕事に向かう。


夏はとうに真ん中を過ぎ、
うだるような暑さだけがだらだらと続いていた。


「外来の点滴なんて気休めにしからないよ・・・」


主治医が不在のある日、激しい痛みがなかなか治まらず、
普段よりずっと強い薬を点滴してくれたドクターのひとことが胸に刺さる。

「外来の点滴なんてカロリーもたかが知れているし、
入院して高カロリーを入れないと治らないよ・・・」


高カロリー輸液を入れて体重を増やし、内臓脂肪を増やす
この「フォアグラ療法」しか、上腸間膜動脈症候群の治療はない。
脂肪のクッションをつければ、
十二指腸が血管に挟まれることも無くなり、
通過障害も解消されるはずというのだ。


それは誰よりも私自身が何度も聞かされ、
わかっているはずのことだった。


踏ん切りをつけなければ・・・
こんな生活をいつまでも続けているわけにはいかない。

「福岡の大きなイベント仕事が終わったら、入院治療をしよう」

病気ごっこはもう終わりだ。
なんとかして治療しなければ普通の生活に戻れなくなる。

33歳。
この10年間走り続けることしかできなかった私が、
はじめて仕事より自分のからだを優先しようと思った瞬間だった。


<次回へつづく>

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コメント

続きがいつ読めるのだろうか、と
首を長くして待っておりました。

とっても待っていました。

最後の一文に他人事とは思えず・・

私も持病が発病したのは、ちょうど同年齢の頃でした。それまでは、仕事第一ひたすら努力あるのみだったのに、自分の力ではどうしようもないことがあるのだなあと、世界が違う色に見えはじめた頃を思い出しました。