薬物漬けのヒモを想起

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2008年12月04日 15:31

精神的にグロッキーでブログを更新する余裕がない。
しかし今日は書かねば、と思った。


取材から社に戻ってきてみたら週刊『女性自身』が届いていた。
大野病院事件の時、一度だけO記者の取材に応じて以来
O記者は、自分の関わったものの載っている号は律儀に送ってきてくれる。
感謝しながらパラパラとめくってみて、2カ所に目が釘付けになった。
これから書くことが気になった方は、ぜひ現物をご覧になっていただきたい。


1)p194~195。こんな驚くべき記事が載っている。すごいスクープ!
・国立がんセンターに500~600億円の借金がある。
この借金をつくったのは厚生労働省である。
・同センターは平成22年に独立行政法人化される
→借金の元利払いは同センターが自分でしなければいけなくなる。
が、年間診療報酬額が200億円ほどしかないのに借金の利払いだけで年20億円以上。
補助金なしでは絶対にやっていけない病院になる。
補助金をもらうには、その省の天下りを受け入れるというのが不文律。
国立大学が行政法人化された際には、文科官僚の天下りポストが多数できた。


これって
ヤクザな情夫が女性を薬物漬けで離れられなくして貢がせるのに似てません?
国民の大事な大事な、がんセンターや国立大学になんてことをするんだ、と。


2)グラビアページ
・厚生労働省による産科無過失補償制度の広告


既成事実だけが積み上がっていくなあ、と。

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コメント

川口様

物事の事実関係の推移を正しく把握しないと、結果的にこんなトンデモない解釈が成り立ってしまうのですね。(もっとも週刊誌の記事の多くはライターが勝手に想像で書いているという旨を以前川口様は仰っていましたが、これなどもその類なのでしょうか)

国立がんセンターの場合、数年前に中央病院を現在の立派な建物に建て替えた他、新たに何々センター(名称を失念)などという機構も立ち上げたりしたため仰るような借金ができたと思います。

これらを嫌がる国立がんセンター(厚生労働省)に本省(厚生労働省)が無理に作らせたのであれば、薬漬けの女性の情夫の例えになるでしょうが、実際は、ブランド買いなど浪費癖の絶えない娘のツケを支払わされていた父親の立場だったように私には思えます。

浪費癖というと語弊があるので、もう少し説明しますと、国立がんセンターなど6つの国立何々センター(通称ナショセン)は、元々国立病院や国立療養所全体でひとつの勘定(国立病院特別会計)として支られえてきました。ナショセンは病院以外にそれぞれ研究所(診療収入はない)を持っており、また、病院も高度医療を提供するため(保険が適応されない先進的な医療については、患者に何百万も払わせるわけにも行かず、多くの場合施設側の持ち出しになる)、どうしても支出が収入を上回る傾向にあり、その不足分を全国の国立病院・療養所の収益で賄い、更に不足する分を税金で賄うというやり方を取っていたと記憶しています。

ここを橋本行革から続く独立行政法人化の波と国の特別会計を廃止せよとの波がナショセンや国立病院を襲いました。(私は今もって何でもかんでも特別会計を廃止しなければならないとする主張や必要性を全く理解できないのですが)

国が政策医療としてがんや循環器病対策などを推進すべきだとして当初はナショセンとハンセン病療養施設は国の機関として残し、国立病院、療養所を独立行政法人として切り離しました。これが数年前の話。

その後、ナショセンも独立行政法人化せよとの時の政権からの圧力(というか指示)に厚生労働省が押し切られ、現在、その法案が参議院で審議されているというのが、事実関係の推移ではないかと思います。

元々国の機関なので、ナショセンの医療従事者も研究者も事務方も皆国家公務員であり、事務方の場合は霞ヶ関や地方厚生局、国立病院などとの間を異動しています。今回の法律改正案でこれらの人々が国家公務員としての身分を一度に失うことになるわけですが、これを機に事務方の異動を天下りと表現してしまうとするならば、それはちょっと違うという気がします。

>KHPN先生
ご指摘ありがとうございます。
なるほど、もう少し推移を見守る必要がありそうですね。

省内の移動と天下りは違うというのは正論ですが、元国立病院に勤務していたとき実感したのは、事務方上役が役に立たないこと。医療の改善から勤務環境の改善、病院収支の改善まで全くと言っていいほど機能していませんでした。
それこそ病院を良くするためには、病院に寄与したいと就職してくる人たちを優先すべきです。こういう点では、川口様の意見も、それほど違っていないのではという気もします。

>一内科医先生
コメントありがとうございます。
この問題は、どこまでを厚労省と捉えるかによって、だいぶ見え方が違うようです。
しかし、いずれにしても、国民・患者の視座から眺めると
結構とんでもないんでないかと思っているのですが
もう少し情報が出てから、改めて考えてみたいと思います。

>事務方上役が役に立たないこと。医療の改善から勤務環境の改善、病院収支の改善まで全くと言っていいほど機能していませんでした。

仰ることに同意。思い当たるフシは随分とありますね。

しかし結局は、その人間が一体どこを向いて仕事をしているのかとか、どんなマインドを持って仕事をしているのか、またそれに見合うだけの能力や権限、資源を持っているか、持っていない場合には、実現のためにどんな工夫をしているか、というようなことで、随分と違ってくるものだと思います。

そういう意味で、志の高い医師が病院長をはじめ院内の要職に着いて経営改善や医療安全、診療機能の向上をリードし、いい加減な事務屋にいい加減なことをさせないように(ちょっと言いすぎかな?)、また優れた人材を積極的に活かすような良いガバナンスを院内に浸透させるように頑張って頂きたいと思います。(この数年で良くなってきている旧国立病院もあります。)


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