くすりのねだん。

投稿者: | 投稿日時: 2009年03月20日 10:23

一昨日のロハス・メディカルのニュースサイトで、薬価のつけ方ががらりと変わりそうだ、ということを知りました。

(速報)製薬業界 護送船団の終焉

ちょうどその前日の日経新聞(夕刊)に、「政府が決める薬の値段。」という記事が掲載されているのを、くい止める会事務局のおかれている研究室の先生に教えてもらったところだったので、ちょっとタイムリーで「へえ!」と思ってしまいました。

でも、薬価の問題と聞いても、多くの人はなんのことだかピンとこないのではと思うのですが、それは失礼な話でしょうか?すくなくとも私の場合は、何度頭に入れようとしても、「とても複雑でややこしいこと」のカテゴリーに自動的に押し込まれて、わかったようでわからないままに蓋がされ、どこか片隅にしまわれてしまいます・・・。

そういえば薬価については以前、『ロハス・メディカル』の誌上でも取り上げられていました。そう思って、サイト内を検索してみたところ・・・ありました!

『ロハス・メディカル』2007年11月号(vol.26)掲載
それでいいのか薬価

改めて読み返しても、うーん、難しい!!非常にわかりやすい言葉で説明されているのですが、それでもややこしい。ということはつまり、そもそも制度やしくみ自体が難しいということですね。


ちなみに、一昨日の日経の記事は、それよりずっとざっくり書いてあって、制度自体については全然詳しいことはわかりません。それでも何となく、何が問題なのかだけは伝わってきますので、ちょっと転載。

ニッキィの大疑問、ちょっとウンチク 政府が決める薬の値段。
2009/03/17 日本経済新聞 夕刊

 通常の商品は生産者が需要をにらみながら価格を決める。ところが、公的医療 保険の中で使う医薬品については先発薬も後発薬もメーカーが勝手に値段をつ けることができず、政府が公定価格(薬価)を決める。全国民に加入を義務付 け、一部には税金も投入される公的保険で使う薬について、メーカーの言うと おりに代金を支払うわけにもいかないとの理屈だ。
 新薬(先発薬)が開発されると、政府はすでにある同じような効果がある薬の 値段を参考にして、もしくは原価を踏まえて、薬価を決める。医療機関はその 薬をなるべく安く仕入れようとするので、実際の流通価格は薬価よりも低くな りがち。政府は定期的に流通価格を調べて、それに合わせて薬価を下げる。こ れを繰り返すので先発薬の薬価はどんどん下がる。最初に出た後発薬は、その 時点の先発薬の7割という水準で薬価が決まるが、その後の流通価格調査によ って、こちらもさらに薬価が下がっていく。
 医療費を負担する側の国民としては薬価は抑えてもらったほうがありがたい。 ただ下げ過ぎると新薬の開発意欲低下などにつながりかねない。微妙なバラン スが問われる政策分野ともいえる。(編集委員 山口聡)


以上の記事と、ロハス・メディカルの特集記事をあわせて一生懸命理解すると、

●新薬(先発薬)は、「製造原価」の約2.5倍をベースに「薬価」が決まる。
●しかし、医療機関は割り引き価格で購入している。
●その割引価格近くまで、2年ごとに「薬価」もどんどん引き下げられる。
●後発薬が出た時点で、先発薬の「薬価」は、さらにがくんと下がる。
●後発薬は、(特許の切れた)先発薬の7割以下の価格に決まる。
●以後、市場競争の中で、加速度的に価格が下がっていく。

そして今回のニュースは、

①新薬の価格を高く設定し、特許切れまで高い水準で維持する
②ただし、後発薬の普及が進まなかった場合には、①の価格を引き下げる

つまり今までは類似薬・後発薬を作って売ったほうが、開発の費用等が格段に低く抑えられ、「ラクしてトクとる」状況だった。そういうフェアじゃない状況を、オリジナルの薬の利益を確保することで、改善しようというわけですね。


ただ、私が気になるのは、ロハス・メディカルの特集記事で指摘されていた以下の点が今回の方針転換によってどうなるのか、ということです。

●医療機関の薬購入の際の値引き額が「薬価差益」。以前は医療機関の大事な収益源だったが、薬価改定に影響することもあり、現在は通常、値引きは控えめ。
●医療機関にお金が残らない→人を増やせない→激務に耐えかねて退職者続出→医療機関の収益悪化、という「医療崩壊」の悪循環

薬価改定に値引きが影響しなくなることで、また以前のような薬価差益が見込めるようになるのでしょうか?また、それにより、医療機関の経営状態はどれだけ改善が期待できるのでしょうか?

これからもう少し勉強しながら、動向を見ていきたいと思います。

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コメント

噛み砕いていただいてありがとうございます。
一点だけ少し違うかなあと思うのは

>①新薬の価格を高く設定し、特許切れまで高い水準で維持する
>②ただし、後発薬の普及が進まなかった場合には、①の価格を引き下げる
の所。
「①の価格」を引き下げるのではなくて、「特許が切れている薬」の価格を今以上に引き下げるということです。

>川口さん

ご指導いただきありがとうございました。なるほど、そうやってバランスを図るということですか。

それにしても、勉強してみても、なんだかややこしい印象は変わりません。医師の友人さえ「薬の値段とかけっこう、よく知らないで処方してる」と言っていました。保険が投入されることや、希少な疾病への薬の価格を市場原理に任せるのは問題があることなど考えると、そもそも難しい問題なのでしょうね。

これからも勉強していきたいと思います。

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