皮膚のかゆみ 発疹がある場合-③症状が全身に現れるなら その4

投稿者: 堀米香奈子 | 投稿日時: 2009年05月28日 07:49

今回は、発疹をともなう皮膚のかゆみが体の各所に見られる場合の最終回です。


紅斑のなかに大きな水疱がみられる「水疱性類天疱瘡」

薬の服用後、多くは1~4週間以内に発熱、黄疸、発疹が見られる「薬物性肝障害」

について、おおまかなご説明と、わかりやすい参考サイトをご紹介します。

まず、症状チェック一覧です(「膨疹」や「丘疹」といった言葉がわからない方は、『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-①皮膚症状のいろいろ、じんましんと湿疹』へ。)


1.突然に赤い膨疹が広がり、ほぼ半日以内に治る
 ⇒ 【 じんましん 】?

2.洋服などが擦れていた部分に、痛みを伴う発赤・丘疹・小水疱
 ⇒ 【 接触性皮膚炎(湿疹) 】?

3.とくにすねに円形の湿疹が現れ、次第に腕、胴体に広がる
 ⇒ 【 貨幣状皮膚炎(湿疹) 】?

4.乾燥した脚や胴体、腕に丘疹。かゆみが夕方~夜に強くなる
 ⇒ 【 皮脂欠乏性皮膚炎(湿疹) 】?

5.主に頭皮や顔、その他の部分の皮膚の表面が赤くかさつき、頭皮だとフケのように剥がれ落ちる
 ⇒ 【 脂漏性皮膚炎(湿疹) 】

6.鳥肌のような硬い丘疹、その部分の皮膚がザラザラに
 ⇒ 【 アトピー性皮膚炎(湿疹) 】?

7.環状につながった大きな紅斑ができ、その縁に小さな水疱や丘疹が出る 
 ⇒ 【 体部白癬(たいぶはくせん) 】?

8.腋の下や腹部、陰部などに丘疹、夜かゆみが強くなる
 ⇒ 【 疥癬(かいせん) 】?

9.手の甲や、腕・脚の関節、陰部などに、紫紅色で平らに盛り上がった発疹
 ⇒ 【 扁平苔癬(へんぺいたいせん) 】?

10.紅斑のなかに大きな水疱。日に日に増えてくる
 ⇒ 【 水疱性類天疱瘡 】?

11.薬の服用後、多くは1~4週間以内に発熱、黄疸、発疹
 ⇒ 【 薬物性肝障害 】?


※1のじんましんと2~6の皮膚炎(湿疹)の症状の違いなどについては、『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-①皮膚症状のいろいろ、じんましんと湿疹』も参考にしてください。


それでは、10・11について当てはまる方、それらしい方は、以下をご覧ください。


10.【 水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう) 】

《症状》
高齢者に多い病気です。最初は強いかゆみを伴う紅斑が主な症状で、湿疹や虫刺されなどの一般的な発疹に見えます。しかし適切な治療が遅れると急激に重症化して、大型の水疱が次々に出現します。水疱は、大きくてぴんと張っていて、その回りの皮膚は赤く炎症を起こしています。放置していると水疱が日ごとに、全身に増えていきます。水疱は破れにくいのですが、破れたときは非常に痛みます。しかし、破れたあとのただれ(びらん)は治りやすいのも特徴です。なお、口の中には発疹等は見られません。


《原因》
原因不明の自己免疫疾患のひとつです。私たちの体は、血液中に抗体(たんぱく質です)というものを作って、ウイルスや細菌などの感染を防ぎます。ところが何らかのきっかけで「自己抗体」というものが出現して、自分の体の組織を攻撃してしまうのです。水疱ができるのは、皮膚の最も表面の細胞を自己抗体が攻撃し、その下の層から分離してしまって間に水がたまるためです。


《処置法》
とにかく専門医にかかって、早い段階で治療を開始することが大事です。通常の皮膚科医でも、他の発疹と見分けがつかないこともめずらしくないようです。診断には皮膚を切って顕微鏡で見る「生検」検査が欠かせません。大きな病院の皮膚科を早めに受診して診断を確定した方がよいようです。

軽症の水疱性類天疱瘡の場合、自然に治ることもありますが、数ヶ月~数年かかります。そこで通常は、ステロイド薬の集中的に内服することで、短期での症状の解消を図ります。


《参考サイト》
水疱性類天疱瘡 メルクマニュアル医学百科家庭版 (万有製薬)
大まかではありますが、必要なことをきちんと網羅しています。

天疱瘡・類天疱瘡(水疱性) 皮膚科Q&A (日本皮膚科学会)
ちょっと難しめですが、知りたい項目別になっているので使いやすいです。


11.【 薬物性肝障害 】

《症状》
薬物性肝障害の大半を占めるアレルギー性肝障害(後述)の初期症状として、皮膚に発疹、発赤、かゆみが出て、ひどい場合は黄疸も見られます。さらに食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐なども伴います。薬の服用を開始してから1~4週以内に起こることが多いようです。


《原因》
薬物が原因で起こる肝障害。大きく分けて中毒性のものとアレルギー性のものとがありますが、患者の大半はアレルギー性です。アレルギー性肝障害は肝臓で薬物が代謝された後、自分の体内にない異物と認識されてアレルギー反応が起こり、肝細胞障害が生じるもの。少量の服用で起こり、かつては問題なく服用していた薬でも、何かのきっかけで突然生じることも。前もって予測することは困難です。薬剤としてはどのような薬剤も原因となりうるのですが、頻度的には抗生剤、抗癌剤、精神科用剤、鎮痛解熱剤などが多いようです。また、アルコール飲用者は通常人より薬剤性肝障害が起きやすいとも言われます。

これに対し、中毒性肝障害では薬物そのものが肝臓毒であり、一定量より多いと必ず肝障害を来すもの。現在、日本で使われている薬剤は厳しい安全基準が定められ、正しく用いればその心配はまずありません。しかし、食品に分類されるサプリメントややせ薬、自然食品などの健康食品では、安全性確保や注意事項表示が義務づけられておらず、しばしば中毒性肝障害が起こったり、死亡例が出るなど社会問題になっています。

《対処法》
皮膚症状以外の症状に注目することが発見への第一歩です。風邪のような症状でも、薬を飲みはじめてから症状が現れるようになった場合、薬物性肝障害を考えます。薬を処方した医師にかかるのがよいですが、専門医としては内科や消化器科の医師になります。

原因と疑われる薬物を中止するのが治療の基本。中止すると、8~9割の人が改善します。ただし自覚があまりない人もいますから、いずれにしても長期に薬物を服用する場合は、2~3ヶ月に1回、定期的に血液検査を受け、肝機能の状態を調べてもらうほうがよいようです。黄疸が出たら特に安静が必要で、黄疸が長引く時は、ステロイドや利胆剤を使用します。

また上のような理由から、健康食品を用いる場合も本来、掛かり付けの医師に相談してからにしたほうが望ましいようです。


《参考サイト》
あなたの健康百科 薬物性肝障害 (Medical Tribune)
医師に診察室で解説を受けているように読めます。

○薬物性肝障害 (gooヘルスケア)
要点が項目別にまとまっているので、わかりやすいです。


さて、次回からは、発疹を伴わない皮膚のかゆみについて見ていきます。

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