Re: やっぱりわからない外来管理加算(2)

投稿者: 中村利仁 | 投稿日時: 2009年05月01日 18:30

 外来管理加算が国民の外来受診回数を減少させるための方策であることはわかっていただけたかと思います。では、なぜに再診料そのものの増減ではなく、別途の加算として設計されねばならないのかについて考えてみましょう。


 再診料は基本診療料と呼ばれる、診療報酬の基本料金のひとつです。基本料金ですから、一つの医療機関では、どの患者さんについても同額です。

 しかし、同じく入院基本料は入院についての基本料金ですが、これは病棟単位、入院日数、看護度で分かれ、さらにそれに各種加算が上乗せされます。このうち、入院日数は個別の患者さん毎、一定の日数の範囲で刻々と変化します。

 入院基本料が日数単位で算定可能なら、再診料もそういう設計に変更することは可能でしょう。…ただし、それがその月で何回目の受診になるのか、単一診療科の診療所であれば話は簡単ですが、複数診療科を抱える場合は、同じ診療科の受診であればともかく、異なる診療科であればカウントはどうするのかをきちんと調べて請求しなければなりません。事務コストが増えます。

 複数診療科の受診であっても問題の生じない請求システムとすることができたとして、次に考えねばならないことは、ここで問題になっている○○管理料や××診療料が、多くの場合、包括料金であるということです。

 包括料金であるということは、何をやってもやらなくても支払いは一緒ということです。出来高払いとの違いはそこにあります。「何もしてもらわないと料金が加算されるなんて」という堀米さんのお気持ちは大変ごもっともです。何もされないことに対して余分な支払いをすることは理不尽に感じられます。そして、「医師が患者の療養上の疑問に答え、疾病・病状や療養上の注意等に係る説明を懇切丁寧に行うなどの、療養継続に向けた医師の取組」を評価するなどと言われても、ピンとは来ないでしょう。

 この仕組みのカギは、これが基本料金ではなく加算、即ち上乗せ料金だというところにあります。つまり、これは(5分要件など無くても)請求されねばならないものではない、ということです。もっとはっきり言えば、やってもらったことに納得できないなら、払う必要はないお金だということです。…びっくりしましたか?

 そう考えたところから当然に考えられるのは、では、これは払わないとなると長期的にどうなるのだろうかということです。

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