薬の幸運な再発見

投稿者: 川口恭 | 投稿日時: 2017年09月30日 13:28

昨日、マルホという製薬会社の開いたプレスセミナーに行ってきた。製薬会社のセミナーで感銘を受けることは滅多にないのだが、今回は密度も濃く、知らなかったことをたくさん教えてもらえて得をしたと思った。もったいないので皆さんにも共有したい。


テーマは、乳児血管腫(リンク先はマルホのサイト。他のものはないかと思ったけれど、これが一番分かりやすかった)という病気と、その治療法について。


私は、まず病気の存在自体を知らなかった。生後数日から数週間で症状が現れるとのことで、熊田が書くところの「産後うつ好発期」のお母さんにとって、大変なストレス源に違いないと感じた。


で、ほとんど有効な治療法がなかったところ、他の用途に使われていた薬が効くと偶然発見され、発見から猛スピードで開発が進んで、今では日本でもその薬が使えるようになった、という話を当然ながら全く知らなかった。


どんな話かは、詳しく書いてあるサイトを見つけたので、そちらをお読みいただきたい。昨日は、ここに出て来るレオテ・ラブレーズ先生の短い講演もあった。


上のサイトに書いてなかったことを付け加えるならば、この用途で2008年に特許を取ったことによって、ジェネリックも出ている安い薬(薬価は後発品だと10mgあたり6.3円)が新薬として甦った(同3.75mgあたり260.7円)ことを、面白いなあと思った。有効成分1mgあたりで換算すると100倍以上の薬価になっている計算だ。しかし、これを高いとかボッタクリとか非難する人はいなかろう。全く新しく開発した時のことを考えたら、とんでもなく安いと思う。また、従前のレーザーなどの治療は全身麻酔を必要とすることも多かったようで、そんなこんな考えると総コスト自体、むしろ下がるのかもしれない。


その気になって探せば、まだまだこういうものが埋もれているんじゃないかと考えると、何だか楽しくなってくる。

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