ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


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おおにし・むつこ●医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて基礎研究に従事。LOHASMEDICALVIEWI(体格指数)にも有意差はありませんでした。 このことから、ココアを摂取するという生活習慣が、彼らの健康に影響していると考えられたわけです。 この効果の原因と考えられているのがポリフェノールの仲間である「フラバノール」です。フラバノール含有量の高いココアを摂取すると、血管内皮機能を調節する一酸化窒素が増え、血管拡張(血圧低下)や血小板凝集抑制(抗動脈硬化)につながることが知られています。 これまでの研究から、ココアの摂取によって、血圧の低下、インスリン抵抗性の改善、認知機能の改善があったと報告されています。血圧に関しては、ダークチョコレート摂取の効果も研究されており、20の研究をまとめた結果、平均で収縮期血圧2・77㎜HGの低下が認められました。収縮期血圧3㎜HGの低下は、脳卒中による死亡に関して8%、冠動脈疾患の死亡に関して5%、全死因死亡に関して4%のリスク低減につながるとの推定もあります。 ただしフラバノールの含有量は、作物の品種タイプ、収穫後の処理、および加工技術に依存するため、同じココアでも、製品によってフラバノールの比率が、かなり異なります。 新鮮なカカオ豆や、醗酵したカカオ豆には、約10%のフラバノールが含まれています。カカオ豆を加工したココアパウダーには約3・6%のフラバノールが含まれ、クナ族の人たちが消費しているのは、この混じり気なしのココアパウダーです。 一方、フラバノールは苦いため、市場には風味を調整したココアが出回っています。例えば120度までの高熱とアルカリ化による「ダッチング」という処理で溶けやすくョコレートやココアは、お好きですか? 最近では、健康面からの注目も高まっています。 そもそもこの関心は、パナマ共和国のサンブラス諸島に住むクナ族と呼ばれる人々の観察研究から始まりました。 クナ族の人たちは加齢に伴う高血圧や心血管疾患に悩むことがありません。ただし、パナマ市や近郊に移住すると、加齢と共に血圧が上昇し、高血圧の有病率は西洋人に匹敵します。この差は、食生活、特にココアの摂取の影響によると、ハーバード大学医学大学院のノーマン・ホレンバーグ博士らは報告しました。 島に残っているクナ族の人たちは平均1日5杯、量にして移住組の10倍、ココア飲料を摂取しています。一方、残留組の塩分消費量は移住組と同等あるいはそれ以上でBMチ第30回チョコレートは健康に良いのか内科医(ボストン在住)大西睦子含有量は千差万別含まれるフラバノールLOHASMEDICAL


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