ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


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LOHASMEDICALVIEW携病院間で、養成枠のやり取りすることも制度上は可能なようですが、貴重な枠を他の病院に無条件で提供するとは考えにくく、枠に余裕のある大学病院がそれ以外の病院(市中病院)への支配を強める結果になりそうです。 現行制度では、若い医師が大学病院と市中病院に分散しています。しかし、以上のような変更が行われると、大学病院や都市部の大規模病院へと若い医師は集中する可能性があります。 大学病院は在籍する専門医の人数(=新制度の下で募集できる若い医師の上限数)が多く、また基幹施設の指定を受けやすいと考えられます。都市部の大規模病院(いわゆるブランド病院)でも事情は似たようなものです。 この理屈の裏返しで、現時点で専門医の人数が少ない地域や病院では、若い医師を少人数しか雇うことができません。格差が固定、あるいは拡大することになります。 今回の制度変更は、「より良い専門医を育成するため」に行われるものです。しかし説明してきたように、実際には、大学病院や都市部の大規模病院に若い医師が集中する専門医の人数を超えて、若い内科医を専門医として養成できなくなる模様です。つまり、専門医が2人在籍する病院では内科専門医を2人まで養成可、専門医50人の病院では50人まで養成可、となるようです。専門医となれないのだとしたら若い医師は就職しないと考えられるので、実質的に採用数の上限となります。連一方で、地方部の中小病院はジリ貧になる、といった副次的効果を生んでしまうのではないか、と危惧されます。 これは言いがかりでも何でもなく、医療界は過去にも似たような例を経験しています。「より良い卒後教育を」との趣旨で2004年に初期研修制度が必修化された際、最初に起こったのは地方での医師不足でした。これは、地方大学の卒業生が、出身の大学病院ではなく魅力的な研修プログラムを提供する都市部の病院に就職してしまい、医師不足になった大学病院が派遣先の市中病院から医師を大学に呼び戻したため、でした。 新制度の本格導入まで、あと2年です。お通いの病院、ご近所の病院が若い医師の集中する病院と若い医師の来ない病院のどちらになりそうか、それで困らないかを、ご確認いただいて、困るようなら早目に声を上げておいた方がよいと思われます。何が起きる?研修指定施設に新たに課されることが分かっている要件(藤岡医師調べ) 新・基幹施設新・連携施設藤岡医師による注釈JMECC(内科学会の救急講習)主催規定なしこの講習会は始まってから日が浅いため、インストラクター資格を持つ人が極めて少ない。インストラクター資格を得るための養成講座も、希望すれば誰でも受けられるような状態ではないため、市中病院の医師が取得するのは困難。医療倫理講習会開催原則開催 医療安全講習会開催原則開催 地域参加型カンファランス開催参加何を指しているのか要件が不明。内科指導医講習会開催参加現在主催しているのは、大学病院か極めて大きな病院のみ。過去にも似た例


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