ロハス・メディカルvol.122(2015年11月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年11月号です。


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LOHASMEDICALVIEWこまで読んで、ウソでしょう、こまめに動いたところで脂肪は燃えないんじゃないの、と眉にツバを付けたくなりませんでしたか? 「脂肪は20分以上運動しないと燃えない」という話、聞いたことありますよね。 ハッキリ言って、「最低20分」の方がウソです。 このデマの出所はおそらく、2000年に発表された1本の論文。「朝食前の空腹時と朝食2時間後、昼食2時間後、どの時間帯に運動すれば脂肪がよく燃えるか」という実験で、昼食後運動群の脂肪燃焼量が運動開始25分を過ぎてから増えたことから、誰かが勝手に解釈し、そのまま独り歩きしたようです。最低20分動かないと脂肪燃えないはデマこると結合が順次ほどけていくのですが、食後で血糖値が高い時は、糖を細胞に取り込むよう促すインスリンが大量に出ていて、むしろ中性脂肪合成を促します。つまり、食後の血糖値が高いうちは、インスリンが中性脂肪の分解を邪魔するので、脂肪はなかなか燃えないのです。 その当たり前の話が、いつの間にか「最低20分運動しないと脂肪は燃えない」に化けてしまったようです。 インスリンが脂肪分解の邪魔をするなら、インスリンの少ない食前に集中して運動すれば、脂肪が大量に燃えてベストじゃない? と考えるか 中性脂肪が燃えるには、グリセリンによる結合の解けた遊離脂肪酸として血中に出て来る必要があります。通常はエネルギー不足を感知す この論文によると、被験者が中程度の強度での自転車運動を1回あたり30分行ったところ、昼食後の場合、運動を開始して25分間は脂肪燃焼割合が減少傾向で、その後増加し始めました。ただし、運動開始から一定時間経たないと脂肪が使われないなどとは一言も書かれていません。 しかもデータを細かく見ると、昼食後・朝食後群よりも、朝食前の空腹群の方が、少なくとも運動開始後30分まで、一貫して脂肪燃焼割合が高いのです。つまり、空腹の方が脂肪は最初からよく燃えています(以上、平田圭ら、2 0 00年)。 実はこれ、当たり前の話です。もしれません。実はその通りで、筑波大学の研究では、食後に運動するよりも食前に運動したほうが、脂肪燃焼が進み、糖の消費は抑えられることが分かっています(K・SHIMADAら、2013年)。 ただし、糖の消費が「抑えられる」とは言っても、あくまで相対的な話であって、ゼロになるわけではありません。ただでさえ血糖値が下がってきている時間帯ですから、そこで集中して運動すると、さらに血糖値は下がります。結果、通常より早くお腹が空いてしまう、という事態は充分あり得ます。 また、運動の仕方が空腹感に与える影響についても、興味深い先行研究があります。朝7時から夜7時まで、2時間ごとに少量の食事をとりながら、空腹感の変化を調べたところ、集中して運動した場合と座ったままの場合では、午後に入って次第に空腹感が空腹時はダメ


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