ロハス・メディカルvol.126(2016年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年3月号です。


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 快眠に適度な強度で、しかも転倒予防や認知機能向上など健康寿命延長を期待できる運動が、北濃研究員の所属する大藏研究室が研究し開発に携わった「スクエアステップ」です。 25㎝四方の正方形が横4マス×縦10マスに並んだ上を、あらかじめ覚えた順番通り(図)にマスを踏みながら歩くだけ。歩くスピードは、その人の自由。慣れたら自宅で一人でもできます。 北濃研究員によれば、週1回のスクエアステップ教室に3カ月間参加した高齢者で、「床に就いてから寝つくまでの時間が短縮された」と実感している人が多かったそうです。 詳しくは、スクエアステップ協会のホームページ(HTTP://SQUARE-STEP.ORG/)を、どうぞ。スクエアステップ前に5〜10分の軽いストレッチを4週間続けたところ、中途覚醒が減り、熟眠感が上がったという報告もあります。現在そうした運動を習慣にしている人は、ぜひ続けてください。 運動習慣がない人の場合、無理に始めようとするのではなく「適度に体を動かせるような家事を、意識的に毎日行ってはどうでしょう」と、北濃研究員は提案します。家事によっては、その強度が軽めの運動に匹敵します。何より、三日坊主にならないことが大切だからです。 「適度に体を動かせるような家事」が思い浮かばない方に、参考になる便利な表があります。国立健康・栄養研究所が2012年に改訂版を作成した「身体活動のメッツ(METS)表」です。メッツとは運動強度の単位で、座った状態での安静時を1としてその何倍のエネルギーを消費するかを示したものです。この表から、適度な身体活動の代表例を左に抜粋しました。 ストレッチが2・3メッツ、ラジオ体操は4・0メッツ、ウォーキングが4・3メッツ(ちなみに散歩は3・5メッツ。歩き方ひとつでかなり違います)なので、同じくらいの強度の家事となると、皿洗い、調理、洗濯、掃除機がけ、部屋の片付けといったところです。家がキレイになる上に快眠を期待できるなんて、お得ですよね。 ポイントは、「あくまで低〜中強度で、頑張っても少し息が弾むくらいの動きにしておくこと。高齢の人ほど、低強度を心がけてください」と北濃研究員は言います。 北濃研究員が参加した高齢者3000人以上を対象とした調査でも、低〜中強度(6メッツ未満)の身体活動を長時間行った方が、高強度(6メッツ以上)の運動を短時間行うより、不眠症状を訴える高齢者は少なかったとのことです。 というわけで、体調や環境と相談しながら、根を詰めずにゆったり気長に毎日、昼間の運動や家事を続けてみてください。©PLAYMOBIL/GEOBRABRANDSTÄTTERGMBH&CO.KG.5スクエアステップのパターン例(初級レベル)12341234123412341234左足が白、右足が黒この4ステップを繰返しながら前へ歩く


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