ロハス・メディカルvol.126(2016年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年3月号です。


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LOHASMEDICALVIEWに厚労省が動かずにいて、前回の流行を迎えてしまい、そして今回です。 前回何度も書いた記事の復習をすると、風疹ワクチンは1977年8月から学校で女子中学生に対して接種が行われるようになり、MMRワクチン禍を経た95年4月からは男女とも1歳〜7歳半の間に定期接種するように変更されます。MMRワクチンからムンプス株を抜いたMR(麻疹・風疹)混合ワクチンも登場しました。ワクチンの安全性・有効性ともに問題ないレベルと考えられています。 ただ、同世代の男女両方に免疫をつけるのが目的だとすると、その時点で7歳半から中学入学前だった女性と7歳半より上だった男性はワクチン接種を受けないことになり、免疫を持たない世代になってしまいます。これを防ぐため、その世代を対象とする移行措置も行われたのですが、接種場所が学校から医療機関に変わり、その世代の人というのは医療機関と通常ほとんど接点がないこともあり、接種率は低いままでした。 この免疫の低い狭間世代は具体的には、79年4月から87年9月までに生まれた女性と87年9月以前に生まれた男性です。2016年1月現在で言えば、28歳以上の男性と28〜36歳の女性ということであり、前回の流行の際に妊娠適齢期の女性とその周囲にいる男性だったこともあり、感染が広がって被害が大きくなりました。今回も数年以内に流行するのだとすると油断なりません。 前回の流行の際は、狭間世代すべてに予防接種を行うには国内承認済みのワクチンが足りず、免疫を持っているか調べる抗体検査費用に補助が出るという何とも歯がゆい対応になってしまいました。ワクチンの製造開始から国家検定終了まで1年ほどかかるので、狭間世代に予防接種を促すための予算措置を行いメーカーに増産を要請するなら今のタイミングを逃さないことです(ちなみに化血研は、このワクチンを製造していません)。あるいはMMRワクチン導入を選ぶという手もあり、それは、おたふく対策にもなります。 もし今回、国が何もしなかったら、不作為責任を問うても良いのではないでしょうか。25


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