ロハス・メディカルvol.127(2016年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年4月号です。


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慢性のひどい肩コリで、各種検査にも異常がない場合、肩だけでなく、つながりあった筋膜のよじれが原因かもしれません。そのよじれをほぐす「筋膜リリース」をご紹介します。第10回LOHASMEDICALVIEW慢性的に肩が凝って、いくら揉んでも治らない、という人、それは筋膜性疼痛症候群(MPS)かもしれません。筋膜のよじれをほぐす「筋膜リリース」で改善可能です。専任編集委員(米ミシガン大学大学院環境学修士)堀米香奈子長く続く肩コリ原因は肩じゃない弛緩に必要なエネルギー産生が充分行われず、筋肉は収縮したまま固まってしまいます。これが、いわゆる肩コリです。この場合、体勢を崩して肩を揉んだり回したり温めたりして、硬くなった筋肉をほぐし、血行を回復させれば、一過性で済みます。 一過性で済まなくなったのがMPSです。 筋肉への負荷を繰り返していると、充分に回復できず、影響が筋膜まで及びます。筋年ひどい肩コリに悩まされていて、整形外科でレントゲンやMRIを撮り、血液検査までしたけれど何の異常も見つからなかった、という場合にMPSの疑いがあります。筋肉を包む「筋膜」に出来た硬結(よじれ、しこり)から、痛みが生じる病気です。 パソコン作業など肩を固定した体勢で長時間いると、その間、肩周りの筋肉はずっと収縮していて、中の血管が圧迫され、血行が悪くなります。酸素不足に陥る結果、筋肉の膜を包む水性成分がゼリー状になってこわばるなどし、自己回復は難しくなります。筋膜のよじれが密集し痛みも生じます。こうしてMPSになります。筋膜の密集が痛みを生む所を協調中心(CC)あるいは融合中心(CF)と呼びます。 問題は、痛い所とCCとFCとが、同じ場所とは限らないこと。 「CCとFCは全身に4 0 0 カ所ほどあり、専門家であればそのコリを触診で判別できます。ただ、全身の筋膜どうしは、体幹を交差して14通りにつながっており、どこかの筋膜に問題が生じているせいで肩に影響が出ていることもあるのです」と解説するのは、首都大学東京大学院人間健康科学研究科理学療法科学域の竹井仁教授です。 例えば、手首の手術後に肩コリを発症した、あるいは足首の捻挫をかばって歩いていたら腰痛になり、さらには肩コリにも苦しむようになった、というようなことがあり得ます。 このような場合、竹井教授長13今回のお話は…関節を越えて痛む


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