ロハス・メディカルvol.127(2016年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年4月号です。


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LOHASMEDICALVIEW皆保険の歯科医療を守るまず歯科医の偏在解消をニングをした場合、日本ではおよそ700〜2400円ほどの治療費だが、米国のニューヨーク州では1万1400〜1万7460円かかる。抜歯(簡単なもの)は、日本が260〜780円なのに対して、ニューヨーク州では1万8240〜2万7600円だ。また、日本は口腔に関する相談料は基本的に無料だが、米国では1万円ほどかかる。毎月の保険料を支払っても日本の歯科治療費は著しく安い。 当院に来院する米国在住の日本人の患者は、歯の治療をするためだけに帰国する。健康保険は所有していないが、米国の医療保険に加入して治療費を支払うより、日本で歯科診療報酬の全額を実費で払っても安くなるからだ。 よく窓口で歯科の治療費が高いと訴える人がいるが、これは医科と比較した認識から出ている。歯科医療費が高く感じるのは、1人あたりの治療時間が長く(医科平均9・5分、歯科平均22・7分)、同時に複数の処置をするためだ。ちなみに医科1分あたりの治療費は歯科の2・8倍だ。総医療費が上がっている中、歯科の総医療費の割合は2001年度の8・4%から2013年度には6・8%まで下がり続けている。歯科治療費は医療費全体から比べて見ても高くない。 低い診療報酬は、歯科医師の貧困を産む。全国では5人に1人が年収250万円以下だ。物価水準が高い東京都でも、32%が年収500万円以下だ。 経済的に苦境に立たされる歯科医師は赤字となる歯科治療をしなくなる傾向がある。赤字治療を極力減らし、少しでも収益を良くするためだ。そのため保険では正しい治療を受けられない患者も出てきている。 最たるものが歯の根の治療(根幹治療)だ。根管治療は歯科治療のメインの一つであり、一般歯科開業医のこの治療に占めるウエイトは高い。 通常、前歯1本の根管治療をした場合、歯科医院の収入はおよそ4600円だ。 一方、根管治療の技術は飛躍的に進歩しており、使い捨すなまち北歯科クリニック 歯科医師 橋村威慶界に誇れる日本の国民皆保険。歯科医院でも、当然のごとく保険証を窓口に出し、治療を受ける。予防から義歯、歯周病まで保険治療でできる範囲は広い。一部の治療(インプラント、セラミックの被せ物など)を除き、患者は均等に高度な歯科医療を受けることができる。しかし歯科では今、この国民皆保険が崩れようとしている。いや、もう一部は崩れている。 国民皆保険を崩す最も大きな原因が低い診療報酬だ。 例えば、毎月、歯のクリー世26実態に合わない歯科の診療報酬赤字を避けると成功率は落ちる


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