ロハス・メディカルvol.127(2016年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年4月号です。


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86人以上82以上〜86人未満78〜82人未満74〜78人未満70〜74人未満66〜70人未満62〜66人未満58〜62人未満54〜58人未満54人未満出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成24年3月31日現在),総務省.LOHASMEDICALVIEWり、指定都市、中核市、施行時特例市、東京都特別区の計51地区中、25地区が全国平均を下回っている。 ここの地区の住民は、現在のところ、通院する歯科医院が多少混んでいる印象はあるかもしれないが、満足に治療を受けられないということはないだろう。 しかし、今の状態が続くのは20年後までである。それ以降は政府の歯科医師抑制策が功を奏し、20年後をピークに歯科医師数は減少するからだ。政府は人口10万人あたり50人を目標に掲げている。達成された場合、現在の歯科医師数より38%少なくなる。仮に現在の人口で計算すると、川口市は人口10万人あたり37・8人、相模原市中央区では32・5人と、1955年当時の34・8人に近い値となってしまう。 1955年当時に第一線で活躍していた歯科医は「まるで野戦病院だった。患者は列をなして待合室に入りきらずに何時間も待っていた。丁寧な治療よりもいかに効率よく治療していくかが重要だった」と述懐する。 昔と比べ歯科治療は緻密化、細分化し1人あたりの治療時間は長くなっている。1 9 55年当時のように多くの患者を診ることは不可能だ。 今の偏在を残したまま歯科医師数が減少すれば、これらの地区から大量の歯科医療難民が発生するかもしれない。あるいは時代に逆行した雑で荒い歯科治療が横行するだろう。歯科医師側が受診抑制をかけるかもしれない。いずれにしても不利益を被るのは地域住民だ。 こうした問題を解決するには、どうすべきか? 私は、歯科医師の偏在解消が第一だと考える。診療報酬の適正化はもちろん必要だが、現行の微増微減の改定では大した効力はない。偏在をなくさない限り、歯科医師過剰地区も、不足地区も双方良い未来は見えてこない。 まずは、歯科医師過剰地区の人数抑制を、強制力を持った政策として取り上げる必要がある。歯科医師数の均一化が、国民が保険で正しい治療を受けられる第一歩である。29市町村ごとの人口10万人あたりの歯科医師数


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