ロハス・メディカルvol.136(2017年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2017年1月号です。


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治療が始まりました。当院の強みがここに表れています。ハンドルを切る際のスピードと本当の意味での患者目線です。 私たち消化器内科医は、「がんで苦しむ人を1人でも減らしたい」と思っています。この目標を実現するため、「いかにして人々016年10月のことです。医師のみが集まる会議で「今の時代、土曜日や日曜日も内視鏡治療をするべきではないか」との意見が出て、即採用となりました。 翌11月からは実際に土日にに内視鏡検査を受けていただくか」を常に考えて行動しています。 今や「胃がんや大腸がん、食道がんは治せます」と、患者さんに言える時代になりました。 2000年前後から急速に普及した内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という治療法による福音です。 口から(もしくは肛門から)挿入した内視鏡から電気メスを出し、がんの存在する粘膜層より下の層で剥離切除する術式で、サイズの大きながんでもきれいに切除可能です。臓器も温存しますし、お腹に傷もつきませんので、術後も生活の質は落ちません。 そして当院はこのESDを得意としており、治療件数は全国トップクラスです(胃がんで2015年は全国4位、2016年は全国7位)。 ただし、ESDで治療できるのは、リンパ節転移の可能性のほとんどない早期の消化管がんに限った話なのです。 現実には依然として胃がんや大腸がん、食道がんは日本人の死因の上位を占める病気です。早期で発見できれば比がんで苦しむ人を減らすための+Α仙台厚生病院物語2較的簡単に治療可能な時代なのに、亡くなる方が激減しているわけではない。この乖離が残念でなりません。 消化管がんを早期で発見するため、内視鏡検査の敷居を低くすることに真剣に取り組む必要があるのです。 医師の技術・診断能力を向上させることや最新の医療機器を使用することは、医師や病院として当然の努力義務です。さらに何かプラスΑできることがないか、当院では医師と看護師、コメディカルが一丸となって常に模索しています。 「鎮静剤を使用して楽な検査を」、「土日祝日も内視鏡を」、「外来診察は予約要らず」、「内視鏡以外の検査オプションを」など、そういう中から生まれた工夫です。この辺りに関しては、次号でもう少し詳しく説明したいと思います。【広告】提供:仙台厚生病院やまおか・はじめ●2004年高知大学卒業。同大学附属病院、高知医療センターを経て、2013年より仙台厚生病院消化器内科。消化器内科医長山岡肇2第9回


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