ロハス・メディカルvol.136(2017年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2017年1月号です。


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い時にちょっと掻くと気持ち良いのですが、皮膚が傷つくほど掻いてしまうとますます痒みが増し、さらに掻いてしまうという悪循環に陥りますね。このことを「イッチ・スクラッチサイクル」と呼び、治療ではこのサイクルを止めることが大切です。このサイクルを止めるため、痒みとは何か、どうして痒いと感じているのかといったことを知っておくことが役立ちます。 痒みは、定義では皮膚や粘膜を掻破したくなるような不快な感覚となっています。認識するのは脳です。その感覚は、どうやって脳に伝わっているのでしょうか。 例えば虫に刺された時のように皮膚が身体の外から刺激を受けた場合、皮膚の中では免疫細胞の一種である肥満細胞(マスト細胞とも言います)から顆粒が放出されます。せます。そして皮膚に存在する痒みの神経(C線維)が刺激され、脊髄を経由して大脳へと情報が送られ、痒みを感じるようになります。 しかもC繊維は単に情報を脳へ伝えるだけでなく、その末端からサブスタンスPなどの物質を出します。この物質は、そのままで痒みに関係しますが、肥満細胞を刺激してヒスタミンの放出を促す作用もあります。 したがって、痒みを抑える肥満細胞という名前から肥満と関係があると勘違いされる方がいらっしゃるのですが、そうではありません。イメージとして、この細胞が顆粒を持っていてサイズがやや大きめという風に理解していただければ、誤った解釈が避けられると思います。 さて、放出される顆粒ですが、そのうち特にヒスタミンが痒みを生じさためには、外から受けている刺激を取り除くこと、肥満細胞から顆粒が放出されないようにすること、既に放出されたヒスタミンが作用しないようにすることなどが考えられます。実は花粉症と同じことで、刺激となる花粉が身体に付かないようにし、肥満細胞からヒスタミンを放出させないように抗アレルギー薬や、ヒスタミンが作用しないように抗ヒスタミン薬を服用します。 ヒスタミンやサブスタンスPは、皮膚の毛細血管に作用、血管を拡張させ透過性を亢進させるため、赤く腫れるなど炎症が生じます。掻くと、それが皮膚にとって新たな刺激となり、もし傷つけてしまうと、そこで炎症が起きてしまいます。 炎症部位で闘っている細胞からはサイトカインと総称される物質が出ており、それもLOHASMEDICALVIEW薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第21回痒い↓掻く↓痒い悪循環を防ごう痒4原因物質ヒスタミン炎症が痒みを増幅


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