ロハス・メディカルvol.136(2017年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2017年1月号です。


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2㎎、成人女性227㎎(平成26年国民健康・栄養調査)と、「日本人の食事摂取基準」(2015年度版)で推奨されている摂取量の成人男性320∼370㎎、成人女性270∼290㎎に届きません。 マグネシウムは、細胞内で、約350種類もの酵素反応の補助因子として作用し、エネルギー代謝やタンパク質産生、DNA合成、神経伝達、血圧コントロール、ホルモン分泌など、あらゆる生理機能に関与しています。 生活習慣病との関係で特に重要なのが、インスリンの働グネシウムの平均摂取量は、成人男性で26特に足りないマグネシウムマきを助ける作用です。マグネシウム不足だと、糖の細胞内への取り込みが滞り、インスリンの作用が弱まってしまいます(インスリン抵抗性)。最終的には2型糖尿病をひき起こします。また、インスリン抵抗性は、インスリンの血管弛緩作用を妨げ、高血圧も招きます。 インスリン分泌そのものにも、マグネシウムが関わっています。 実際、マグネシウム補充で、インスリン抵抗性とΒ細胞のインスリン分泌機能は改善することが分かっています。 疫学研究でも、食事からのマグネシウム摂取量が少ないほど2型糖尿病の発症が多く、摂取量が多いほど発症リスクは低下するとの報告が複数あります。 米・フラミンガムの大規模疫学調査で、マグネシウム摂取量が1日50㎎増えるごとに、冠動脈石灰化の程度は22%減るという関係が発見されていること、7月号でもお知らせしましたね。 足りないのは絶対量だけではありません。前項で説明したように、細胞からのカルシウム排出に必須なので、推奨摂取量を満たしていたとしても、カルシウムをマグネシウムの何倍も摂っていれば、カルシウムの暴走を止められないことになります。 実際、各国の食事中のカルシウムとマグネシウムの比率と虚血性心疾患(狭心症・急性心筋梗塞)との関係を調べた研究では、カルシウムの比率が上がるほど、虚血性心疾患による年間死亡率が上昇していました(グラフ)。 これらの研究も踏まえ、カルシウムとマグネシウムの摂取比率は1∼21が良いとされています。しかし、「私たちが独自に計算したところ、日本人のカルシウム・マグネシウム摂取比率(カルシウム/マグネシウム)は、1970∼1989年頃まではおよそ1・48から1・85だったのが、2001年以降は2・1以上に上昇しています」と横田教授は指摘します。どんどんアンバランスになってきているのです。 「自分はカルシウムとマグネシウムがバランスよく配合されたサプリを摂っている」という方も要注意です。近年相対的にも不足食事から摂ろう


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