ロハス・メディカルvol.138(2017年3月号)

ロハス・メディカル2017年3月号です。リン酸探検隊は本丸の練り物に、体幹トレーニング、長生きを喜ぶ日本へ戻ろう、女性に増える糖尿病、摂るべし新鮮な魚油、主治医との話し方、抗生物質って何?、梅村聡と小松秀樹、都会の公園にも森林浴効果、点眼は間隔と順番が大事など。


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月号に引き続き、今回も眼のお話をします。点眼と眼の構造について考えてみましょう。 医師から1回に1滴だけ点眼すればよいと言われても、2、3滴点眼している方はいらっしゃいませんか。1滴では眼の全体に行き渡らないような気がして、多めに点眼したくなるそうですが、実際はたった1滴で充分なのです。それは、眼が一度に貯留できる量と、1滴の量とを比較すればよく分かります。 目薬は、簡単に言えば、角膜や結膜という部分を経由して、眼球に吸収されていきます。 このうち結膜は、名前の通り、瞼と眼球を結ぶ膜です。眼球が動きやすいよう、ピンと張った膜ではなく、緩めになっており、小さな袋状になっている部分があります。結膜嚢と呼ばれます。点眼したまいます。勿体ないですね。 では、その溢れた目薬は、どこへ流れて行くのでしょうか。まずは眼からこぼれて眼の周りの皮膚に付きます。そのままにしておくと、場合によっては皮膚が炎症を起こしたり色素が沈着したりすることがありますので、必ず清潔なガーゼやティッシュでそっと拭き取るようにしてください。目薬は、眼球の前面にある角膜や結膜に広がると共に、この結膜嚢に入り込み、徐々に眼球の奥まで薬が届けられます。 この結膜嚢はとても小さく、20∼30ΜLしか入りません。一方の目薬は、種類によっても異なりますが、1滴あたりおよそ30∼50ΜLです。そのため、2、3滴点眼してしまうと、明らかに容量オーバーになり、溢れてし もし、こぼれなかったとしても、安心していてはいけません。実は鼻涙管から鼻の方に流れていった可能性があります。この場合、鼻から喉の奥を通っていくため、大袈裟な言い方ですが、目薬を飲んでしまうことになります。そうなると、薬が全身に回り、全身に作用することになり、良からぬ影響が出る可能性もあります。 特に、緑内障の治療では、交感神経Β受容体遮断薬(Β遮断薬と書かれていることもあります)と呼ばれるカテゴリーの点眼薬があり、注意が必要です。成分は異なりますが、Β受容体遮断薬は内服薬としても使われており、心臓や気道に影響する恐れがあるのです。 点眼薬が鼻涙管に流れないようにするには、点眼後、静かに眼を閉じ、目頭をそっと1分ほど押さえておきます。その時、何度も瞬きをしないことが重要です。瞬きをするLOHASMEDICALVIEW薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第23回点眼は1滴で充分間隔と順番が大事先30結膜に袋がある瞬きを何度もしない


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