ロハス・メディカルvol.141(2017年6月号)

ロハス・メディカル2017年6月号です。「口から人生を豊かに」3回目は、歯痛の原因です。武井典子氏voice。新連載「健康情報しらべ隊」スタート。分煙では受動喫煙を防げない。梅村聡氏と井上清成氏の対談。記者が当事者になって気づいたことほか。


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たけい・のりこ●1980年、東京医科歯科大学歯学部付属歯科衛生士学校卒業、2001年、放送大学卒業、05年、新潟大学大学院修了。09年、日本歯科衛生学会会長(15年まで)。15年から現職。歯学博士。日本歯科審美学会副会長、日本口腔衛生学会理事。LOHASMEDICALVOICE齢化の進展に伴って介護の必要な方が増え続け、社会問題化していることは、マスコミなどを通じて、お聞きになったこともあるかと思います。しかしその一方で現在でも、75歳未満の高齢者の96%、75歳以上の高齢者の69%は、介護を必要としない自立状態にあることをご存じでしょうか。 この方々の健康寿命を延ばして、要介護状態にさせない。なるとしても遅らせる。その社会的意義は、とても大きいと言えるでしょう。 この観点から予防すべき対象として注目されるのが、フレイル(活力低下)であり、その入り口である、口腔の活力低下状態「オーラルフレイル」です。 実は、オーラルフレイルは、毎日の口腔機能を高める訓練によって改善ができることが分かってきています。今後、口腔健康管理のプロフェッショナルである歯科衛生士に対しては、オーラルフレイル予防への、社会の期待がさらに高まると考えています。 一方、近年口腔と全身の健康の関連について、次々と新しい知見が示されております。このため、歯科衛生士の免許を持って仕事をしていても、研修や書籍を通して積極的に情報収集していなければ、新しい知識や技術が不足してしまいます。歯科衛生士として常に最新の知識や技術を持って働くためには、学校教育に継続した生涯研修が必須です。 また、急性期医療を受けて退院した方では、自立を取り戻すための口腔健康管理のニーズが高く、医科歯科連携や退院支援などの連絡・調整を担当できる歯科衛生士の役割も期待されています。 加えて現在、口腔ケア用具を実際の生活の中でどのように活用することが有効であるかの臨床研究はあまり進んでいません。企業とも連携して口腔清掃管理の有効な方法を研究、その結果を高齢者や多職種に自信を持って広めていくことも大切でしょう。 こう考えてみると、歯科衛生士には、元々求められている自然科学的視点に留まらず、多職種と連携して高齢者の口腔健康を効率的に高めるための社会科学的な視点、その結果として高齢者の生活にどう貢献ができたか評価する人文科学的視点も求められていると考えます。 日本歯科衛生士会といたしましては、地域で多職種と連携して歯科衛生士の専門性を発揮するために、歯科衛生研究の推進と認定研修の拡充に注力しております。さらに、都道府歯科衛生士会の生涯研修や指導者研修を強化することで、新人歯科衛生士研修や復職支援研修の充実につなげて参りたいと考えています。健康寿命を延ばす専門職歯科衛生士への期待に応えるために!武井典子 日本歯科衛生士会会長高6


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