ロハス・メディカルvol.141(2017年6月号)

ロハス・メディカル2017年6月号です。「口から人生を豊かに」3回目は、歯痛の原因です。武井典子氏voice。新連載「健康情報しらべ隊」スタート。分煙では受動喫煙を防げない。梅村聡氏と井上清成氏の対談。記者が当事者になって気づいたことほか。


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 健康増進法の改正で「これだけ議論が紛糾している背景として、日本では路上喫煙禁止条例が先行して導入されてきたことも挙げられます」と欅田部長。吸いたい人は外でどうぞ、とはいかない状況が先にある、というわけです。大和教授によれば、49カ国で既に屋内は全面禁煙ですが、屋外は喫煙自由なので、屋内を完全禁煙としても問題になりにくいのだと言います。 なお、屋内の禁煙対策が中途半端のまま、路上喫煙禁止条例だけ整備されてきたのは、それ以前からポイ捨て禁止条例が普及していたことも大きいようです。健康被害防止より環境整備を意図した条例でした。路上喫煙禁止法の想定外LOHASMEDICALVIEW 屋外に喫煙所を設けるとしても、その場所が適切でなければ、かえって受動喫煙のリスクは高まります。厚労省は、「喫煙場所を施設の出入口から極力離す」よう求めていますが罰則などもありません。 実験では、風の向きや強さ次第では、喫煙所から水平方向に25M離れた場所でも日本の大気環境基準を超えるPM2・5(微小粒子状物質)が観測されています。煙は上方向に拡散しますので、路上の喫煙コーナーの上に歩道橋がある場合はさらに深刻な受動喫煙が発生します。 さらに、喫煙後の吐息の問題も見落とされています。肺に残っている煙は、2∼3分常のドアよりも高額です。喫煙室には排気装置の設置が必須ですが、冷暖房された空気も一緒に排気しますから、電力の浪費、経費のムダです。「節電に最も有効なのは、昼休みの照明を消すことではなく、喫煙室を廃止することなのです」と大和教授。 また、喫煙所から人が出る時には、歩く背後に渦巻く気流が発生し、内部の煙を外に持ち出します。出入口では内側に向かって風が吹き込むようになっているものの、歩行速度の方が2倍以上速いために発生する現象です。厚労省の示す「前室を設ける」といった対策は、「多少なりとも効果はありますが、余分なスペースと多額の投資が必要です」と大和教授は指摘します。は吐き出され続けます。その後も呼気にガス状成分(タバコ臭)が残り、喫煙前のレベルに戻るまで45分かかったと報告されています。 大和教授は、「肺から煙が完全に出切るまで喫煙室から出られない、喫煙後は口をすすぎ、洗面と手洗いをする、といった徹底したルールが必要」と話します。 近年、煙を被った部屋や家具に残留した粒子成分による「三次喫煙(サードハンド・喫煙所や吐息も問題煙なくても三次喫煙スモーク)」の問題も指摘されています。 欅田部長によれば「現段階で一般人への実害は明確ではない」ものの、「気管支喘息や化学物質過敏症の患者さんでは、発作を誘発します」とのこと。その場にいなければ吸っても大丈夫、というのは間違いで、時を超えて健康被害を与えるのです。 非喫煙者の健康を本当に守り、安心できる生活を実現しようとするなら、公共の場所の敷地内禁煙しかありません。時間帯禁煙など論外です。19


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