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福島県立大野病院事件第三回公判

 H医師の証言が、どんどん投げやりになっていくのがお分かりいただけると思う。そして前に挙げた下の証言へとつながっていく。

  検察 弁護人と面会したことはありますか。
  H医師 はい。
  検察 それはいつですか。今年に入ってからですか。
  H医師 はい。
  検察 3月に入ってからですか。
  H医師 はい。
  検察 その時、弁護人以外に誰か同席していましたか。
  H医師 1回目は同席者がいました。
  検察 なるほど2回面会しているのですね。面会は証人から申し出たのですか、弁護人からですか。
  H医師 弁護士さんの方から。
  検察 1回目の時に同席したのは誰ですか。
  H医師 産婦人科のY先生です。
  検察 それはどのような人ですか。
  H医師 福島医大の助教授です。
  検察 その方からは何か話がありましたか。
  H医師 何かと言いますと?
  検察 確認しますが、Y先生は福島県立医大の何科の医師ですか。
  H医師 産婦人科です。

 検察は、H医師が圧力をかけられて、あったはずの記憶をなくした、という物語を描いている。さて弁護側はどうするのか。反対尋問である。

  弁護人 警察から被疑者として取調べを受けましたね。
  H医師 はい。
  弁護人 今まで被疑者として取調べを受けたことはありますか。
  H医師 今回初めてです。
  弁護人 警察の取調べでは半分諦めていたということでしたが、何を諦めていたのですか。
  H医師 細かなニュアンスが無視され、断言していないところも断言したようになっていました。不快な態度も取られ、調書というものは断言した感じに書かれるものなのだろうと。
  弁護人 調書を取られる時に不快な態度を取られたりして、自分が不利益を被るかもしれないと思ったことはありますか。
  H医師 あります。
  弁護人 検察官の調り調べは3月3日で、2月18日の加藤先生の逮捕の直後、ちょっと後ですが、あなたも逮捕されるかもしれないという不安はありましたか。
  H医師 逮捕を覚悟しておりました。
  弁護人 検察官の取調べでも断定したように書かれましたか。
  H医師 警察よりはましでしたが、裁判に使われるとは思わなかったし、裁判で使われるとは知りませんでした。
  弁護人 断定的に書かれたのですか。
  H医師 断定的に書かれました。
  弁護人 警察で話した内容に引きずられて、検察で考えた内容が言えずに不正確になったことはありますか。
  H医師 おおよそ合っていましたが、ニュアンスの面や、断言については微妙です。
  弁護人 現在の法廷での証言では心理的圧迫は無く、記憶にしたがって証言できていますか。
  H医師 はい。
  弁護人 Y先生との打合わせで記憶と違うことを話しているということはありませんか。
  H医師 記憶とは違ってないです。
  弁護人 警察や検察での取調べの時のあなたの心理状態と、公判廷でのあなたの心理状態を比べて、どちらが自由に真実に近く話せていますか。
  H医師 記憶に近いのは今の方です。

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