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ニュース〜医療の今がわかる

議連発足記念・真の公聴会


12日の「真の公聴会」の模様が、ほとんどのメディアで報じられなかったため、マスコミの偏向の現れと見る人も少なくないようです。

でも、実はマスコミがどういう事象を採り上げるか知っている身からすると、まあ報じられなかったのも仕方ないかなという気がしておりました。つまり意図的に黙殺したわけではなく、記事にする程のことではないと彼らが思っただけです。(医療現場の惨状が、記事にする程のことでないという意味ではなく、イベントを記事にする必要はないという意味です)

ところが本日、ロハス・メディカル連載の打ち合わせで鈴木寛参院議員(議連幹事長)とお会いして話をした結果、12日のシンポはマスコミで報じられるべき意義があった、と認識を改めました。
ただし私がその意味合いに気づいていなかったくらいなので、事前説明なしに、一般メディアの記者が意義に気づくのは難しかったと思います。

まず、マスメディアが報じなくても仕方ないと考えた理由です。危機を訴え結集を呼びかける系のイベントは、あちこちの業界団体や役所の主催で日常的に行われています。でも、そんな報道を目にしたことは殆どないはずです。取材に行って記事の素材にはするけれど、イベントそのものを報じることはないというのがマスメディア記者の相場感です。今回の会合が、いつものイベントと違っているとは気づきませんでした。

で、今回は非常に内容が濃かったので企画記事を書く際にあの場の情景を引用する記者は多いと思います。それで十分じゃないかと私は考えていたわけです。

しかし、これは大きな見落としでした。よくあるイベントとは大きく異なっていました。


まず、主催者が議連で、業界団体や役所から一銭も出ていないこと。通常は、業界団体や役所がすべてお膳立てをして来賓である国会議員に陳情する形を取るそうです。言われてみれば、と思います。このため今回、議連各役員の事務所は、まるで選挙前であるかのように忙しかったそうですし、医学生40人を含む大勢のボランティアが手伝わなかったら、とても開催は覚束なかったとのことです。文字通りの手弁当で、あそこまでの会ができたのは大変なことです。

次に、もっと大きな違いは、陳述人や陳述事項の選定に、役所が一切介在していないこと。これまで、公聴会や審議会、あるいは議員視察は、すべて役所がセッティングをしていたため、役所にとって都合の悪いことを言いそうな人は排除され、現場にある矛盾が議員に伝わらなかったのだと言います。

医療の場合、特に過酷な勤務に苦しんでいる医師は国立・公立病院・大学病院に在籍していることが多く、医療界特有の上意下達システムに加えて、公務員としての指揮・情報伝達系統もあるため、そこから外れて国会議員に直接ものを言ってはいけないと思いこまされていたと、鈴木寛議員は分析しています。でも、この公聴会がきっかけになって、全国の医師が「表で言っても構わない」ことに気づく可能性がある、と。

つまり全国規模の革命的変化が今後起きるとしたなら、その着火点として、ハッキリあの会が特定できそうなのです。

そこまでの意義が分かっていたら、たぶん一般メディアの記者たちも何かしら記事にしたんじゃないか、書いておかないと後から引用できなくて面倒なことになりそうと思ったはず、そのように認識を改めた次第です。

気づくのが遅くて、すみませんでした。

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