文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

行政監視委員会

「ここ3年くらい厚生労働省と議論を続けてきた。厚生労働省は一貫して、医師は全体として足りている。偏在しているだけだ、と主張し、我々は絶対的に足らないと主張してきた。現場の医師たちは、労働基準法をはるかに逸脱した過酷な勤務をしている。これが我々の絶対的医師不足説の根拠である。しかるに新聞報道などを見ると、与党が医師不足対策のプロジェクトチームを立ち上げたそうだが、厚生労働省は引き続き医師偏在説を取り続けるのか」

 柳沢厚労相「OECDなどと比べると確かに人口あたり医師数は決してゆとりのある数ではない。今の状況では特に病院の医師に負担がかかっている。対して診療所の医師にはそれほど負担が重くない。結果として病院の医師にしわよっていることはよく認識しており、これが一つの偏在として読み取れる。地域的にも医師数の多い地域と少ない地域があり、また科目ごとにも偏在がある。与党が医師不足とタイトルにうたったPTを作ったといっても、これは私どもの認識の延長線上にある話で、私どもの努力をさらに後押ししていただくお考えであろうと」

 よくもまあ言ったものである。一つは日本医師会の支持基盤である開業医に、もっと働けと言っている。でもそれ以上に凄いなあと思うのは、もともと「ゆとりがない」ところで偏在を解消しようとするのだから、要するに「国民みんなで我慢しましょう」と言っているのに等しい。しかし、この政権を選んだのは国民だから巡り巡ると仕方ないのかもしれない。

 ここで質問の矛先は、先日来話題になっている「医師確保法」へと移る。

 鈴木議員「地方の医師不足を解消するために国公立病院から派遣を行うとのことだが、このような構想が近々まとめられるのは事実か」

 柳沢厚労相「現実に研修医を引き付けているところを拠点病院と位置づけ、そこから地域で不足しているところへ派遣する。このネットワーク化は、そもそも私どもが進めさせていただいているシステム。また明らかに不足しているところ10県くらいについては、将来の養成数を先食いする形で医学部定員を増やすというのもあるけれど急場には間に合わないので、急場の対応として派遣ネットワーク制をどう使うのか新しい知恵をいただけるのかなあと考えている」

 政府与党案のようなことは、既に以前からやっていたのだそうだ。以前からやっていたのなら、さも新しいことを始めるかのようにマスコミにリークするのはいかがなものか。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス