文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

周産期・救急懇談会3

川上
「ウチの病院でも1000グラム以下は対応できないけれど1500グラムあれば何とかなる。1000グラム以上を収容する他の所を増やしたら緊急避難にはならないか」

田村
「全くおっしゃる通り。先ほど申し上げた準NICUはそういうものの位置づけだ。ただし、それを保険で認めないといけないし6000点ぐらいはないと、現実的に整備しようという医療機関は出てこないと思う」

川上
「前回資料にも出したけれどDPCで新生児を受けると必ずマイナスになる。それから勤務苛酷なのをどう改善していくか。一番進んでいるのが救急だと思う。5人いれば2交替でもかなりいける。でNICUを10床やるのに2交替するとなると何人必要か」

田村
「長期的には交替制をめざしている。しかしかなり将来のこと。現状いつまで経ってもそうならない。動かすためには最低限、労働基準法に従った給料支払いを義務づける、そうしないと施設長が逮捕されるくらいのことにしないと。そうすると残業代がとんでもない額になって、それを払うくらいなら人を増やそうかということになる。ただし10床で交替制は無理。最低24~30床のNICUと同じくらいの後方ベッドが要るだろう」

杉本
「NICUの勤務条件を入れるのは全面的に賛成なんだが、それと別の観点で、母体救急だったら必ずNICUがないと受け入れできないという風に縛ってしまうのもどうだろうか。基本的に2人とも救命したいわけだが、難しい時には母親優先、母親が難しい時には胎児優先とずっとやってきた。その原則は分けて考えておかないと。NICUがあった方がいいのはその通りだが、ない所には搬送できないというのでは動きが取りにくい。たしかに受けると決めてしまわないと不安は解消できないんだろうが、もし軽いと分かったら他の病院へ移すシステムを考えた方がいいんではないか」

田村
「今の周産期システムでは赤ちゃんの重症度は判断できる。しかしお母さんは一般の救急と同じということで分けて考えてこなかった。せっかく救急の方々が入っているのだから、得意のトリアージの考え方を産科にも入れられるよう教えてほしい。特にコントロールセンターの責任者には、そういう能力のある人を配置することが必要だと思う」

岡井
「ガイドラインをつくるという話はしている。今はとりあえず受け入れざるを得ない。NICUがいっぱいにならないよう、うまくガイドラインを作らないと」

戸井田政務官が割り込む。
「少子化なのに低体重児が増えている、それはなぜ」

田村
「先ほど座長が説明した通りで」

戸井田
「要するに高齢出産だからなんだろう。だったら、もっと早く産めと社会に言うべきじゃないのか。それが根本だろう」

田村
「不妊治療の結果として双子、3つ子が増えている。死亡率が5倍に跳ね上がるので、受精卵を戻すときは1つにと学会でも言っているのに、現実には守られていない。高齢出産をやめなさいとは我々の口からは言えない。行政だったら言えるのかもしれないが」

戸井田
「そのリスクを伝えることが大切だろう。みんな簡単に産めるつもりでいるから、何かあった時に話が違うんじゃないかということになる。啓蒙していくのが大事なことだろう」

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス