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ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会17


田浦
「3人と同じような意見だ。作家は1つの小説を書くのに、旅館に泊まり込んで書くと聞く。そんな工夫は、できないものだろうか。評価委員を5日間どこかに集合してもらって、集中的にその事例についての文章その他を全部終わらせる。そうすると、説明会というのは全然別個でできるのではないかと思う。
 次は養成の件。調整看護師の標準業務マニュアルというものがあるが、こういう対応をするとなると、基本的に、もっと土台から枠組みを作って教育していかないと、切羽詰まってくるのではないのかなと、私自身がやっていて思う。例えばコミュニケーション能力が、すごく必要なのではないか。あとは、グリーフケアを本格的に勉強したわけでもないし、すごく不安を持ちながらの仕事になっている。
 モデル事業では今まで3回、全国の調整看護師に対する研修を行っているが、これも是非またその延長線上として続けてもらいたいし、例えばコミュニケーションをどういうふうにやる、それからグリーフケアのどうとかこうとかということを、モデル事業の研修の中でやっていただけると、調整看護師は助かるのではないかと思う。
 もう1つ、看護協会の作った、調整看護師としてどういう人がいいかを書いたものがあって、臨床経験何年目以上とか、事故対応、医療安全、そういうことをやった人、そんなことが書かれている。確かに、医療安全のことを知っているほうが、こういうモデル事業をやるにはベター」

樋口
「私もモデル事業に少し関与している。私からは質問というよりは、いくつかのことを感じたので、それに対して更にコメントをいただければと思う。
 第一に、私自身も大学で授業を行っていて、例えば、医療安全の問題について、日本ではいまモデル事業と呼ばれる実験的な試みをしている人がいるんだよと言うのだが、誰も知らない。それはモデル事業側の問題点も、もちろんあったのかもしれないが、こういう地道な努力を陰に隠れていろいろな人がやっているということは表にはなかなか出にくくて、これも本当にそのひとつなのかもしれないと思った。今日のような機会に、実際に、まさに解剖から何からずっと立ち会ってこられた人の話を聞いていただく機会があるというのは、非常にいいことだったのではないかと、まず思っている。その上で、聞くだに本当に困難で面倒なことをやっている。これがそう簡単に出来るものではないということだけは分かる。もう、本当に分かる。それでも私のように医者ではない人が読むには難しい。遺族の人の所へこれが説明されたのだと思うが、こういう事業に現場で立ち会ってこられた方が、先ほど来やっぱりよかったと思う点もいくつもあるのだというお話をしてくださった。それもありがたいことだがが、その中心は、何人かの遺族の方が、よくやってくださった、いろいろな形でちょっと疑問もあったのだけれども、少なくとも、こういうことは分かったというところ。
 医療では感謝、人のためにというのが基本としてなくてはいけないので、まさに医療の基本の一部をここでも実践しているのだということが分かった。しかし、あえて言うと、これだけの人的な資源と時間をかけているわけで、さらにプラスするものもほしい。もちろん遺族に感謝してもらうということがいちばんだと思うし、できれば病院関係者からも感謝していただきたいと思うが、それにプラスして何かということ。日本の医療を良くするために、この経験には本当に良い意味があるのだという話が、たぶんあると思うし、あってほしいと思う。そのプラスアルファの部分があるから、まさに医療界としてこういうことをやってみようとしたのだという話なのかどうかということをもう少し補足していただけないか。医学の進歩あるいは日本の医療の最低限を守るとか、何かプラスアルファがないといけないのではないかという感じがした。それがもっと強調されると医療安全調査委員会を立ち上げる意義が感じられると思う」

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