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ニュース〜医療の今がわかる

臨床研修検討会5


辻本
「到達目標はスタートする際に議論が尽くされて作られたものだったはず。それが僅か5年という医学の歴史から見れば本当に短い期間で右往左往していいのだろうか。患者国民のニーズは一つではない。本当に多種多様で、その多様なニーズに応えてくれるということでつくったものが到達目標だった。それがプライマリケアの能力であり、嘉山先生言うところのトップランナーへつなぐことのできる能力を持つことになるのではなかったか。研修医がやる気を失っているからと安易にわがままな息子を甘やかすような議論だけでいいのか。患者の立場として思う。精神科へお客さんで興味もなく行って、でも他科紹介できるようなことが分かった、行って良かったというような声も聞いている。やる気だけを支えようという、わかったような親の態度はもう一度考えていただきたい」

嘉山
「医療界の取り組みを大変善意に捉えていただいてありがたいのだが実態は全然違う。端的にいうと、救急車で運ばれてくる人の半分は脳卒中。その7割を脳外科が診ている。しかし、このプログラムには脳外科が入ってない。これを言うと自分のところに利益誘導するように取られるから、あえて今までいわなかったけれど、それが入ってない、とんでもないプログラムだ。医療界を信用していただいてありがたいが、現場には合ってない。それがよい証拠に、高知医療センターの脳卒中は脳外科が支えていたけれど崩壊した。脳卒中の患者は言語障害が残るので声なき患者になってしまう。それがサイレントマジョリティだ。精神科は、まだ自分で発信できる。こんなプログラムは、いっそ実状に合わせてきちんと変えましょうというのが、我々の使命だ」

高久
「アンケートではほとんど全員が3カ月いないと困ると言っている。そこを2年間の中で必修とどう結びつけるかに苦慮している。到達目標はほとんど変えないでできるのでないか」

小川(岩手)
「この委員会が立ちあがった時に両大臣が列席して、この制度が医療崩壊を起こした、顕在化させた面もあるから、そこを含めて見直すようにとのことだった。そこを皆さんお忘れになられたのか。議論の中から医療崩壊が消えてしまっている。余裕があるんだったら研修を3年でも4年でもやればよい。しかし今や東京の近くの銚子でさえ廃院になり、さらに近隣の病院まで危ない状況だ。元に戻って考えないと。東京のように5分もいけば大病院があるところばかりじゃない。地方では診療所が無床化し、病院がこのままでは来年はもたないような状況にまで追い詰められている。何のためにこの検討会をやっているのか。それを戻すためじゃないのか。今の臨床研修のままではそれができないから、この会議をやっている」

高久
「ビジョンによって医師数を増やすことにはなった。研修制度を見直す時に2年間も短くという意見もあったが、私のところに寄せられた意見の95%は2年間はそのままというものだった。あとは内科と救急と地域医療はすべての医師がすべきだろう。他の科についても、なるべく多くの科を回った方がよいのだが、しかし期間の問題もあるから、そこで行き詰まっている」

西澤
「困っているのは民間病院であり、公立病院であり、地方の病院だろう。しかし、その困っている病院からでさえ2年間は維持という声が出ている。数不足は問題だが、質を取るための我慢ということでないか。そのことを踏まえて議論したい」

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