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医師の勤務状況、1年前と「変わらない」49.8%

■08年度改定の緊急課題は、勤務医の負担軽減

 2008年度の診療報酬改定では、産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担軽減が「緊急課題」に位置付けられた。
 医師不足が深刻化な産科や小児科を重点的に評価したほか、病院勤務医の事務作業を軽減するため、メディカル・クラーク(医師事務作業補助者)の配置を評価する点数を創設した。

 また、病院の外来患者を減らすため、診療所の早朝・夜間診療に加算を設け、夜間の救急患者らを診療所に振り向けることを狙った。さらに、地域の中核病院の勤務医の負担を軽減するため、外来患者を減らす取り組みをした場合の点数を倍に引き上げた。

 しかし、病院勤務医の負担が増加している背景には、国が進める医療費抑制策や医師数の絶対的な不足、2004年の臨床研修制度を契機に加速した医師の地域偏在、患者の権利意識の向上や訴訟リスクの増加などによる診療科ごとの偏在など多くの原因が指摘されており、「診療報酬改定だけでは限界がある」との声もある。

 また、勤務医の負担を軽減するために創設された加算点数を取るための基準が厳しいことや、診療報酬の引き上げ分が現場の医師に還元されないことを指摘する声もある。

 果たして、08年度の診療報酬改定は勤務医の負担を軽減する効果をもたらしたか―。

■勤務医の労働環境は「変わらない」「悪化」

4月15日の中医協検証部会5.jpg 診療報酬改定などを議論する中央社会保険医療協議会(中医協)では、公益を代表する委員で構成する「診療報酬改定結果検証部会」(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)を設け、主な改定項目の影響について議論している。
 検証部会の下に、同部会の委員や関係学会などで構成する「調査検討委員会」(会長=白石小百合・横浜市立大国際総合科学部教授)を設置し、調査結果を検証、分析している。

 病院勤務医の負担軽減に関する調査結果がこのほど、「調査検討委員会」でまとまったため、同委員会の白石会長が4月15日の「診療報酬改定結果検証部会」に結果を報告した。

 調査は、医療機関の管理者を対象にした「施設調査」のほか、勤務医(医師責任者、医師)を対象に実施。外来患者を縮小する取り組みを評価する「入院時医学管理加算」、メディカル・クラークの配置を評価する「医師事務作業補助体制加算」、リスクの高い妊婦の分娩管理を評価する「ハイリスク分娩管理加算」の3つのうち、いずれかを届け出ているすべての病院(1151施設)を対象とした。

 調査結果の概要は122ページにわたる膨大な内容で、回答をまとめたグラフは186ある。意見交換で委員の関心は、1年間の勤務状況の変化を示した「図表128」(医師責任者の場合)と「図表143」(医師個人の場合)に集まった。

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