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火だるまになっても「概ね了承、座長一任」~医道審医師臨床研修部会

 河野陽一・千葉大病院院長
「評価システム等の課題もある。継続審議にしてもらわないと、少なくとも継続を前提にしてもらわないと、新しい制度を入れたら課題も新しく出てくるはず。評価システムがしっかりしないうちは皆が不安に思うのは当然」

 おっ?と思っていたら事務局に助けが入る。富永芳徳・甲賀病院院長
「この部会でも、あるいは臨床研修検討会でも130%の定員が多いから絞ろうという点には合意がなされていたと思っている。こういう案が出て、まあまあかなと私は思っている。少し都会だけでなく地域でも研修をすべきということだし、福井先生(次矢・聖路加国際病院院長)の研究では旧制度より到達度も高いということで研修の質もある程度評価できるだろう。各病院の質がどうなんだと問われると千差万別かもしれないが、しかしそれなりの評価はできている。研修を終えた人たちの自己評価も高いし、指導医も一定基準を満たした人たちがやっているわけだから、あの病院はとんでもないという所はないと思っている。そういう所は学生が応募しないだろう」

 いつものような予定調和に戻ったかと思いきや、山口徹・虎の門病院院長
「先ほど、研修の質を高めるために施設基準を強化して枠を狭めるという話だったが、もしこれまでの研修の評価が、福井先生のスタディのように施設の規模と関係なく良い研修ができているなら、それと合わないのでないか。研修の質について今後どのように評価するのか。現在の質が不足しているのでないと中小の医療機関の頑張りが評価されないことになるし、新制度で質が上がったのか下がったのかも分からない。見直しは5年後では到底遅い。出発点の所の質がどうだったのかハッキリさせておかないと分からなくなるのでないかと懸念する」

山下
「山口委員の言うことが根本。研修の内容を問うスタンスで押していかないと。河野委員の言うとおり、検証の仕方が決まっていない。福井先生の検証は、教えたことが分かってますかと確かめている。それでは不十分で、きちんとした医者になっているかは出ていない。既に旧制度で5年経っており、検証しようと思えばすぐにでもできるはず。本当に必修が内科と救急でいいのかといったことも含めてプログラムそのものを検証しないといけない。大事なことは鑑別であり、そのためには難しいのからありふれたものまで全部見ないとできない。そういうことができてるから現在の研修は良い、できてないから良くない見直しが必要だ、そういうデータをつくっていただきたい。それがない状態でいかがですかと問われても不十分ですとしか答えようがない」

矢崎義雄・国立病院機構理事長
「今までの臨床研修はプログラムを提示して、そこに応募を受ける形だったが、そこを弾力化するということは施設のファクターが視野に入った選択になる。その辺り、研修指定病院にとってどういう対応をするのかが大きな課題になるだろう。従来のプログラムで募集しても自由ですよというメッセージを出しておかないと現場は混乱すると思う。従来通りのプログラムも新しいプログラムも、どっちを選択しても裁量に任されているということだと、それぞれの質の検証をしていかないといけないだろう。大きな変革で、プログラムと到達目標は切っても切れない関係にあるので、変更するしないは別にして検証をしながら良いプログラム設計するのが基本だろう」

次々と質の検証をしろという意見に同調者が続く。と、ここで山口委員が別の観点から注文をつける。

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