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骨髄バンクは天下りを拒否せよ-『東京の会裁判』を支援する集い


 訴訟に関しては改めて別に報告することとして、ここでは解説2人分とパネルディスカッションの模様を記す。

野村正満・『東京の会』顧問
「骨髄バンクも今でこそ70人くらい職員がいるけれど、最初は5人位で人もカネもなかった。だから支援しないとどうにもならんということでボランティアが支えてきた。そうやって一生懸命支えてきて、この20年間でバンクが成熟したかと考えてみたい。

・バンクを介した移植が希望者に遍く届いているかといえば、まだ希望者の5~6割に提供できているに過ぎない。
・皆保険制度があるのに、バンクを介すると患者負担金がある。
・コーディネート期間が長くて、一時短くなりかけたけど、また最近長くなってきている。
・ドナーの安全性が確保できているかといったら、つい先日も国立がんセンターで骨髄を採り過ぎるという事故があったばかりだ。

 こう見てくると、バンクにはもっと責任ある運営をしてほしいという気持になる。改善には現状分析が必要で、その中には当然に批判も含まれる。東京の会は真摯な言動と運動を20年行ってきた。そういう良かれという提言に対してバンクが対応してきたかと言えば、寂しい現状がある。そんな中で突然訴えてきた。

 要は名誉棄損に名を借りた口封じであり、ボランティア組織に対する明白な敵対行為だ。この裁判は断じて負けるわけにいかない」

宮戸征美・全国骨髄バンク推進連絡協議会初代委員長
「私が委員長を降りてから、もう15年経った。当時の私は、ボランティア運動だという意識と同時に、新しい社会システムをつくる社会運動だという意識も持っていた。今でこそ財団に一本化されているが、当時は東海にバンクがあり、東大にも東海大にもつくろうという動きがあった。ただ私はたまたま、献血について提供者に何かあった時には日赤が一生補償することになっているのを知っていた。だから骨髄バンクも乱立はいかん、もしものことがあった時にきちんと補償できるよう国が主導でつくるべきと主張し続けた。私がいなければ、あと2~3年早くスタートしていたのにと当時は言われたが、しかし補償する仕組みが絶対必要だ。

 骨髄バンクは善意の人が登録して提供する。それに対して何を返しているか。実は何も返していない。喜びを与えているんだというような言い方もあるが、しかし何か起きた時には、1億円を3億円にすべきだと今思った。しかし現状のバンクではとても覚束ない。
 
 それから20年も経つのだから、この運動を世界にも出したいなと思うのだが、とてもじゃないが出せない。バンクがなぜこんなに停滞しているのかという問題意識は持ちたい」

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