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3次救急の受け入れ不能なくしたい-都内3救急病院、41慢性期病院が連携へ


■都立府中病院 稲田進一副院長
稲田副院長.jpg 当院は、400万人の人口の多摩地域で唯一の総合的な機能を持つ都立病院。約760床で、昨年の病床稼働率は91.4%、平均在院日数は12日を切っている。石原慎太郎都知事がつくった3つのERのうちの1つなので、ERを開きながら、救命センターを20床持っている。とにかく忙しい状態で、昨日の病床稼働率は98%、今日は96%。副院長の仕事はどこかに頼むか脅すかして(会場笑)、ベッドを探すこと。結核病床が48床あるが、実際は半分は使えない状態。個室が少ないので、大部屋に患者を1人入れると、もう使えない。20床ほど空いているのに指をくわえて見ている状態だが、急性期の患者を入れるわけにもいかない。そういった病床運営をしながら救急医療をやっている。
 来年度、今の府中キャンパスの中の府中病院の隣に、小児病院を集約化した形で1350床の「多摩総合医療センター(仮称)」を設置する。9月に竣工し、来年2月末に完成する予定。なんとか府中の総合周産期を立ち上げてほしいと求められており、来年度には総合周産期母子医療センターも引き受ける。お産も今の700件弱からさらに増やし、脳外科のオペなど、外科系に力を入れていく。そういった状況にあるのが状態が今の府中病院。
 年末に永生病院の飯田院長から『連携をしよう』と言われ、パイロットスタディとなる形の連携を始めた。救命センターは20床あるが、19床が埋まると、3次救急患者の受け入れを断ることがある。救命センターにいても、一般病床に出ても、とにかく引き受けて下さるという『可能性』を、ぜひとも進めていただきたい。そうしないと府中病院はやっていけない。来年度にはSCU(脳卒中ケアユニット)を6床設ける予定で、MFICUなど、ユニット系で受けていこうという方針でがんばっている。それには慢性期、療養型病院の協力が必要になる。挨拶というかお願いになるが、今後ともよろしくお願いしたい。
 
■武蔵野赤十字病院 富田博樹院長
富田院長.jpg わたしは医療連携センター長を副院長時代から続けていて、院長になってもそれはやめないということでやってきた。医療連携は院長の仕事だと思ってやっているので、今日はセンター長としてやってきたつもり。北多摩南部医療圏には3つの大病院があり、急性期に特化した医療をやっている。8年前にはこの医療圏には回復期病床がなかったので、脳卒中医療をやるグループでお願いをして回り、今では300床を超えて東京都の中でも回復期病床が最も多い医療圏になった。ただ、これは回復期に入る人たちがなんとかその流れに乗ったということ。当院は救命センター30床、SCU9床。杏林大病院も同じぐらいの急性期。そうすると回復期の流れに乗らない方相当数おり、脳卒中だと3割ぐらいの患者さんが回復期に乗らない。維持期に行かないといけないが、維持期はどんづまりの状態。救命センター30床の半分が、療養型への転院待ちでじっとしていて、半分のベッドを一生懸命動かしながら救命センターを維持しているという状態。そんな状態だが、当院は救命救急に関して都内のベスト5に入る。この救命センターがじっとしているという悲惨な状態だが、維持期をなんとかシステムにしていただきたい。そうすれば急性期病院がやっと軌道に乗る。今日は医療連携センター総力を挙げてやってきた。力を合わせて一緒になって一つの流れを作りたい。
 
■杏林大学付属病院 呉屋朝幸副院長
呉屋副院長.jpg 今日はわたしが医療連携担当ということで伺った。私自身は外科医で専門は肺がん治療。杏林大は多摩地区に本部を置き、病院は約1100床で活動。3次救急まで扱っている。DPC記録を見ると、都内で救急患者を一番多く診ているのは日赤医療センター。私たちがほとんど同数で2位。多摩地区で、このようなたくさんの救急を取りしきらないといけない中、活動している。患者さんを受け入れるだけでなく、円滑に後方支援をしていかないと、私たちのような病院は活動できない。救急患者だけでなく、慢性期の患者さんもたくさん抱えている。切れ目のない医療を、水準を落とさず提供し、さまざまな患者さんの医療に対する求めに応えていくには、どうしても一つの病院だけではやっていけない。それなりの大きな急性期病も一人ではやっていけない、連携しないといけないと感じている次第。後方支援についてそれなりのチャネルは持っているが、多様な患者さんのニーズに応えるには、さらに多くの情報が必要と感じている。この会で多彩な話を聞き、勉強させて頂きたい。患者さんにより質の高い医療サービスを還元するという観点から、このネットワークで働かせて頂きたいと思う。よろしくお願いしたい。
 
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