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集約化か、救命救急センターの活用か―重篤小児の救急医療

■ 「都道府県または三次医療圏あたり1カ所」に異論


[中澤座長]
 恐らく、ご意見があるところだと思うが、第3項の「発症直後の重篤な時期(超急性期)の救命救急医療を担う体制の整備」について、ご議論を願いたい。どなたかご意見、ご発言を。はい、田中委員。

[田中裕委員(順天堂大医学部救急災害医学教授)]
 8ページの下から3行目に、(小児の救命救急医療を担う医療機関を少なくとも都道府県または三次医療圏あたり)「1カ所の整備が必要」とある。
 それと、9ページの「小児の救命救急医療を担う救命救急センターの整備」のところで、「同一二次医療圏に複数の救命救急センターが整備されている地域においては、そのうち少なくとも1つの救命救急センターを、小児の救命救急センターとして整備することが考えられる」とある。

 「1か所」という形にしてしまうと、例えば直近の救命救急センターが、そこへ行くように指示をしてしまう可能性がある。あるいは、当該救命救急センターが受け入れ不能なときのセーフティーネットが少し弱いのではないか。「1か所」に限定する必要はないと考えるが、いかがだろうか。

[中澤座長]
 この点、いかがだろうか。はい、阪井委員どうぞ。

[阪井裕一委員(国立成育医療センター総合診療部部長)]
有賀徹委員(左).jpg 田中委員と結論は同じだが、意味は違うかもしれない。「超急性期」は、救命救急センターですべて受け入れる。直近で受け入れるのがいいので、私はずっとそれを主張している。

 そういう意味で、3の内容(「少なくとも都道府県または三次医療圏あたり1カ所の整備)は混乱をきたしやすい。田中先生がおっしゃったような疑問は当然に出てくる。

 「1か所」と決めたら、「それ以外のところはやらなくていいのか」みたいになる。10ページの「超急性期と急性期に提供される医療の機能分担について」のところに分かりやすく書いてある。

 「救命救急センターの使命と機能を考えるならば、重篤な小児救急患者に対して『超急性期』の医療を行うことは不可欠であると考えられる」ということをしっかり出しているのだから、「超急性期」はすべての救命救急センターでやるという命題がある。

 その前に、3番(発症直後の重篤な時期の救命救急体制)のところに、「少なくとも1か所」と書いてある。かなり分かりにくくなっている。すべての救命救急センターで、「超急性期」をやるのかどうか。そうであれば、その次の「急性期」における救命救急センターの役割は何なのかということを、もう少しクリアにした方がいい。

[中澤座長]
 ありがとうございました。ただ今のご意見に対して、いかがだろうか。私がこのように(少なくとも1か所と)考えたのは、小児を受け入れられない病院、断るところがあるのはなくしたいから。

 「少なくとも」と書いてあって、複数でも構わないということ。少なくとも、そういうもの(24時間体制ですべての重篤な小児救急患者を受け入れる救命救急センター)があって、少し拡げていきたいということがある。ない地域があるので、やはりつくっていきたいということが、(本検討会の)最初の視点ではなかったか。

 そういう意味で、「少なくとも」という言葉を入れて、スタートラインとして設定したいということがある。その辺のところ、もう少しご議論いただきたい。小児の救命救急医療に対して、多少得意なところが出てきたら、そこに、ある程度の距離であれば集中するのもやむを得ないのかなということを考えている。心肺停止などの重篤な「超急性期」の場合はどこでも受け入れるのは事実だろう。

 それから、田中委員が指摘した「セーフティーネット」という考え方は確かにある。私どもはこの点について、「バックアップベッドの充実」ということを考えて、救命救急センターのICUが一杯にならないように、後ろ側もちゃんと整備しようと。やはり地域に、「地域」の定義もいろいろあるが、地域に複数あるということになると、やはり「質の担保」ということがある。あるいは、人員の配置が今すぐには無理ではないかということを考えたので、こういう形にした。
 今、ご指摘を頂いたように、最初の部分の議論をもう少し頂きたい。いかがだろうか。

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