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ニュース〜医療の今がわかる

新型インフル 「ハイリスク群の命に集中を」 尾身・専門家委員長


 最後に今後何をしたらよいのかということを6点述べる。その前に、今回の対策の重点を理解する必要がある。今回の新型インフルエンザは、基礎疾患を持つ人、糖尿病や喘息、妊婦のそういう人の一部で重症化して死亡する事例がある。そういう人たちが重症化して死亡することを避ける、この一点を中心に構築されるべきだ。

 ①重症化から死亡を防ぐには、感染の拡大がどこまで進んでいるか、迅速・正確に知る必要がある。既に外来サーベイランスや学校での集団発生の報告体制は強化されている。しかし、これらは一部を引っかけるだけ。この2つだけでは十分でない。一般の医療機関でも、臨床的におかしいと思ったり、あるいは何人かクラスターで来たりした時、それから妊婦について、能力の制約はあるにしても優先的にPCRを現場の判断でやってもらうこと。

 ②サーベイランスが機能しているかどうかの評価を国がやらないといけない。患者が出てこないのは、本当にいないのか引っかけられていないだけなのか見極めること。

 ③医療供給体制を持続可能なものにしなければならない。軽微な人は自宅静養してもらうと共に重症化したら直ちに入院、基礎疾患のある人も入院というように、しっかりと切り分けないといけない。

 ④インフルエンザというのは、ウイルスがどう変わるか分からないのが特徴だ。しっかりモニターして強毒化したことが分かったら、また弾力的対応を行い、しっかりとメッセージを出すことが必要だ。

 ⑤国民全員が協力してなるべく感染しないように予防に努めるとともに、感染してしまったとしても基礎疾患のあるような人に感染させないよう行動する必要がある。

 ⑥季節性でもお年寄りが亡くなっているが、しかし若い人、特に妊婦が医療供給がなかったがゆえに死亡したというようなことになると社会的インパクトが非常に大きい。何としても、そのような事態を避けるべく最善を尽くさなければならない。

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