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「まず助産所の嘱託医との連携を」-スーパー総合、助産所からの搬送ケース


 都が7月29日に開いた周産期医療協議会(座長=岡井崇・昭和大教授)では、「スーパー総合周産期センター」での受け入れに該当する搬送が、システム開始以来9件あったことが報告され、その中で多量出血による助産所からの搬送ケースがあった。これについての委員のやりとりをご紹介する。

 

[山村節子委員(日本助産師会東京都支部支部長)]
8の症例に関してですけども、搬送までの時間帯が55分程度で一番長いんですね。しかも直近に入っているにもかかわらず長くかかっているということ。すみません、私も把握していなかったんですけども、よく会員から言われるのは、総合周産期に電話すると、よく『嘱託医、または嘱託医療機関からの方もう一回電話を下さい』と言われるという、大変無駄なことをやらされていて時間がかなりかかっているということがあるのですが、この事例に関してはどうだったのかということです」

杉本委員(左)宇賀委員(中)丹正委員.jpg
[杉本充弘委員(日本赤十字社医療センター産科部長)]
この事例はシステムというより助産所がガイドラインを遵守していなかったということで問題にさせていただきたいと思っていたケース。むしろ嘱託医と全く連絡も取っていなかった。連絡を取らずに独断で子宮収縮剤の点滴をされたりしていて、搬送されているんですね。事例そのものが低位胎盤ということでリスクのあるケース。かつ、嘱託医と連絡を取らないで、いろんな処置をして、出血のコントロールができないということで連絡を受けている。ガイドラインを遵守しているということであれば、連絡を受けてから嘱託医というもっとその以前に嘱託医との連携が当然あってしかるべきだった。この症例は全くなかったということで、あとで助産師会方で、むしろ内部で検討して頂きたいなというふうに思っています。

[岡井座長]
それはそれでいいんだけど、それとこの55分かかったということと関係あるの?

[杉本委員]
その前に、低位胎盤の診断を受けている連携病院が間に入っている。そこが受けていただけないということで総合の方に連絡をして、そこで出血が止まらないということで、色々細かいことは聞かないで『スーパー』で来て下さいということで。出血量としては1200CCを超えるところまではカウントできていたというようなケースだったということ。

[岡井座長]
中等症だったんだよね。

[杉本委員]
そう、中等症。そういうことで55分の中に連携医療機関との連絡というようなことが入っている。

[岡井座長]
間に入っている、うん。

[杉本委員]
そういうことの時間と考えていただきたい。

[岡井座長]
最初の連絡の時点では「スーパー」という話にはならなかったと。

[杉本委員]
そう、出血ですから探しているうちにだんだん出血が多くなって重症化していったと。そういうケースです。

[岡井座長]
途中で変わっていくということがありますからね。それほど重症と思わなかったのに、目の前でどんどん悪くなっていくというケースがありますからね。

 
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