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「コスト調査」という名の医療費抑制ツール

■ 「途中経過ぐらいは、お示しいただきたい」 ─ 山本委員
 

[山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)]
 データを出す方も集計する方も大変お手間のかかる仕事なので、あまりいろいろなことを申し上げるのもあれだし、手法ができたという認識なので、ちょっと気にはなるが......。問題は、4ページ(計算方法や計算単位など)。

< 診療科部門別収支の計算方法 >
 部門別調査は、病院全体の収益・費用の金額を、最終的に入院部門、外来部門の各診療科単位に割り振り、診療科別収支(入院・外来ごとの診療科別収支)を把握するものである。
 病院の診療科や部署(病棟、外来診療室、手術室、医事課等)を「入院部門」「外来部門」「中央診療部門」「補助・管理部門」の4部門に分け、そのうち「補助・管理部門」「中央診療部門」の収益・費用を段階的に「入院部門」「外来部門」の各診療科に配分する「階梯式配賦」という手法を用いて、診療科別収支を算定した。>
 具体的にこうした調査をして、最終的に入院と外来に分けて報告書を作るので、具体的に出てこない......。私ども、薬を扱っていると、収支に極めて大きな影響が出ると思っているので、中央部門や管理部門(の収益・費用)が(各診療科)に按分されてしまう。

 最終的な(収支の)データはそれでいいと思うが、もしデータをお持ちなら、「途中はこんな風だった」というような途中経過ぐらいは、お示しいただけないものなのだろうか。全く見えてこないで......、最終的に外来と入院(の収支)になってしまうと......、途中の経過がなかなか見えにくいので、何かそういうものをお出しいただければありがたいと思う。

 ▼ 途中経過を見えるようにしたら、この調査の意味がなくなる。このコスト調査は、診療報酬を引き下げるエビデンスを用意するための調査。厚労省が恣意的にデータをいじくり回すためには、結果に至る過程をできる限り隠さなければならない。「階梯式配賦法」という意味不明な配分方法を使うのもそのため。なるべく分かりにくく、中身が見えにくく、それが基本姿勢。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 それは......。この調査の中で、ということだろうか? それとも、「今後の調査の過程で」ということだろうか?

[山本委員(日薬)]
 (まずい質問をしてしまったと思ったのか)あ、あの......、まとめの段階になれば、この報告書になると思うが、参考で結構なので、こんなことがあったというようなものをお出しいただけるのであれば、そうしたものを「参考資料」にお出しいただければありがたいと思っている。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 つまり、(入院収支、外来収支など)この分類とは違うような分析の仕方が、オーダーを出した場合にそれに対応していただけるかどうか、「いただきたい」ということ。事務局(保険局医療課)、いかがですか?

[城・保険医療企画調査室長]
 え......っと......、今回のものについては、先ほどからご議論があるように、調査手法の開発ということで、結果をもってということで、なかなか、こういう形にまとまったので、ちょっと、えー......、ご容赦いただければと思う。

 今回の(調査の)目的が、請求が発生する診療科とか、そういう所で収支、コストをきちんと見られるように、というものなので、中央部門は極力割り振るという方向だったので、途中段階というものを、どのようにしていくか......、お求め......なので、ちょっと、どういった形がいいか、精査をさせていただかないとちょっと、お答えしにくいと思う。ちょっとご相談をさせていただきたいと......。

 ▼ 着任早々、これは厳しい質問だったと思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 山本委員、従って、今回についてはこのままで、今後の過程において違った分析の仕方が必要であるということが基本問題小委員会で明らかになれば、また専門組織(コスト調査分科会)にお願いして、別途分析していただくということ形にしたいと思う。

 ▼ 過程の公開には、基本問題小委員会の承認が必要だろうという意味。

 それでは、とりあえず今回調査の中身については、よろしいだろうか? 

 (反対意見なし。今回の調査を中医協・基本問題小委員会として承認した模様)

牛丸委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 「多数参加できるよう簡素化の方法を検討したい」 ─ 田中分科会長
 P3 → 「配賦によって外来と入院のニュアンスも変わってくる」 ─ 藤原委員
 P4 → 「まだ早い。とりあえず手法としては確立したという段階」 ─ 西澤委員
 P5 → 「自由診療が入っていると、非常に影響が大きい」 ─ 対馬委員
 P6 → 「途中経過ぐらいは、お示しいただきたい」 ─ 山本委員
 P7 → 「簡素化によって、精度が阻害されるか」 ─ 牛丸委員

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