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ニュース〜医療の今がわかる

『患者の経済負担を考える』


 こういう運動をしていると、薬害のことも考えざるを得なくなる。マスメディアの中にも、『あんたがやっている行動は反社会的だ。薬害肝炎の被害者のことを見てみなさい。福田衣里子さんも泣いてたでしょ』と浅はかな知識をひけらかして説教する人がいる。相手のことも知らないといけないと思って、薬害肝炎被害者の方たちが書いた本とか川田龍平さんが書いた本とか片っ端から読んだ。彼らが登場した番組なんかもメディアの人にもらってたくさん見た。

gankatagishirou.JPG それで分かったのは正反対の主張をしているんではなくて、実は同じ構図の薬事行政の被害者として同じような主張をしているだけだった。違うのは、薬害の方が世界で投与中止になっている薬を投与し続けた人為的なもので、ドラッグ・ラグの方は世界で使われている薬に国も企業も医療者も知らんふりをしている不作為というだけのこと。それから、薬害と副作用とが違うことは被害者の人たちも理解している。肝炎治療のインターフェロンは副作用がとんでもなくキツイらしい。でも、そのことを問題にして裁判に訴えた人は1人もいない。

 薬害再発防止の検討会でも適応外使用について提言があったので、私たちはその委員会に対して『被害者だけで検討しないで』という意見書を出している

 まとめる。日本は『薬鎖国』と言ってもいい状況だと思う。命と向き合っている人がいて、有効性・安全性のある治療薬が世界にあれば本来は承認されることが望ましい。しかしそうはいっても費用対効果の問題とかいろいろあってすぐには難しいかもしれない。そこに適応外使用せざるを得ない状況があることを認知すべきだ。しかし、だからといって何でもかんでも野放しはよくないということは先ほど述べたとおり。エビデンスに基づいたものである必要はある。薬害は確かに過去に起こってしまった。しかし治療しないよりは可能性にかけたいという患者がいる現実がある。ドラッグラグ解消も前向きに考えてほしい」

国立がんセンター中央病院内科・勝俣医師
「我々医師も日々適応外や未承認の薬の扱いに非常に苦労している。保険医療養担当規則というのがあって、認められない適応外使用を行うと罰せられて保険医取り消しになる。仕組みは私もおかしいと思っている」

千葉県がんセンター前センター長・竜医師
「医療者側も世界にエビデンスがあるなら連携して適応拡大に持っていかなければならない。しかしそもそもが医療費亡国論から始まっていて、何百万円もする抗がん剤を保険に入れたら大変だというのが原点にある話。現場の医療者も苦しんでいるので、今のように分かりやすい話で世論に訴えかけていくことが大切だと思った」

片木代表
「最近、学会や病院などに講演で呼ばれることが増えて、医師も苦しんでいると分かった。患者もバカではいけない患者力をつけないとということで、私の所ではビシビシやっている。お互いがお互いのことを考え合って後退せず前向きにやれることをやりたい」

次の演者・清郷氏
「療担規則があって、医療者が使えないということを問題だと思うか、保険が適応されないことが問題だと思うか」

片木代表
「一番は保険も適応されることで、今の日本では難しいかもしれないけれど基本。その辺は日本国民に問わないといけないのでないか。今は両方ともできてない。それを金持ちだけが助かるみたいな話にすり替えるのはおかしい」

細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会・高畑事務局長
「保険の適応とエビデンスがあることとがイコールなら何の問題もないと思う。ただ実際には適応症でなくても薬効薬理から類推して合理的なら問題ないという約束が日医と厚生省との間で交わされている。それすら守られていないわけで、今の制度の枠内でもまだできることはあると思う」

片木代表
「たしかに厚生省の通知の中にもまだ使えるものはあると思う。公知レベルで承認申請してよいという二課長通知とか。でも、それで申請しようとしたあるメーカーはPMDAから絶対にダメだと言われているらしく、あまり強く言うと他の薬が人質に取られているからということだった。高畑さんの挙げた通知にしても、二課長通知にしても知らない人が多い。他にもまだ寝ているものがあるかもしれない。ただ、あまり細かいことを言い過ぎて、それを答にされても困るので今は理念を主張している。おそらく医療者の方がそういう通知類については詳しいと思うので、そういうものを患者会に教えてもらえる関係づくりができるといいかなと思う」

前の演者・志村氏
「卵巣がんを早期に見つける方法はないのか」

片木
「それがあれば苦労しない。早期発見が難しく、比較的抗がん剤が効くことから、その選択肢を
広げる方が患者の命を救うであろうということでこんな運動方法をとっている」

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