文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

『患者の経済負担を考える』


kokugankiyosato.JPG
3番手で登場したのは混合診療訴訟原告の清郷伸人さん。

「私の主張は正しくは混合診療解禁ではなく、科学的治療原則解放というものだ。

 病気の経過を簡単に説明すると、2000年12月に職場の超音波検診で左腎臓に所見があり、神奈川県立がんセンターで腎臓に5センチのがんと診断され、翌1月に左腎臓の摘出手術を受けた。2月にインターフェロンを開始したが、6月CT検査で頭部蝶形骨とC7頸骨にがん転移が見つかった。手術はできないということで、 7月に米国MSKCCとMDアンダーソンCCでセカンドオピニオンをもらったうえで、8月から放射線治療、9月からLAK(活性化自己リンパ球移入療法)とインターフェロンの併用を開始した。

 ところが、2005年9月に週刊朝日に混合診療を暴露する記事が出て、がんセンターがLAKはもうできないということで中止され現在に至る。たしかにLAKの分の治療費は一緒に請求されていなかったのでおかしいなあとは思っていたのだが、まさかそんなことになるとは思わなかった。

 2005年10月から11月にかけてメディアや国会議員等に窮状を訴える手紙や質問状を提出したがはかばかしい反応がなく、 2006年1月には横浜医療問題弁護団に提訴相談  2月同じく東京医療問題弁護団に相談、いずれも受任拒否されたので、 3月に本人訴訟で東京地裁に提訴、5月にホームページを開設し、6月に『違憲の医療制度』を出版し、07年11月に勝訴判決、2008年2月控訴審開始 2009年9月判決予定といったところだ。

 私は、たまたまがんというポピュラーな重病に罹った普通の一般人だ。仕事や家庭でなんとか平常の生活を取り戻したいと真剣に闘病していた患者だ。ある日、そんな患者をドン底に突き落とす仕掛けがよりによって国からかけられた。その当時、混合診療などという概念を全く知らなかった。がんの治療において一つでも保険で認められていない薬や治療を行うと、一緒に行っている保険治療の保険も使えなくなるというもので、もし両者を混合して行ったら保険が使えなくなるだけでなく、行った医療機関も保険指定を取り消されるという残酷な懲罰が科される。

 それは、がんを告知されて身体的にも精神的にも重いダメージを受けている患者と家族に対して、さらに経済的にも窮地に追い込むという非人道の極みとも言うべき制度だ。がんと言われただけでも残酷な知らせなのに、加えて残酷な知らせだ。保険を使えなかったら家計が破綻する。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス