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ニュース〜医療の今がわかる

総選挙直前企画 各党の医療政策を聴く②民主党


  
(現状とあるべき姿との間にあるギャップをどのように埋めますか)
 
 まず国民が健康に関心を持ち、健康管理に努めるというのがあるべき姿ですから、予防医学につながっていきます。ですが、予防医療は保険適用ではないところにギャップがあります。ある一定の確率で病気になりますから、そこで標準的医療が比較的安い自己負担で受けられることが必要です。ただ、保険間で格差がありますので、そこにもギャップがあります。そこで情報を公開し共有し、医療を受ける側と提供する側が同じ会議体で話し合っていけば「日本の医療はこれでいいのか」という話に必ずなってくるでしょう。国民の中でもやはりこれだけの医療を受けられるためには、それなりの税、保険の負担が必要という認識が生まれてくるはずです。そういう取り組みが必要だと思います。オープンに医療側の情報を流してもらい、国民がそれを目にして考えることが大事だと思います。
 
 日本の公的医療保険は、職業別に共済組合や健保組合、協会けんぽ、市町村国保と、それぞれに別な保険制度です。協会けんぽが8.2%、健保組合が7.3%、共済組合が6.8%と保険料率に差がある上、同じ健保組合の中でも企業の大きさによって自己負担率に差があるという現状です。これでは国民皆保険と言いながらも不平等な制度設計ではないでしょうか。市町村国保は保険料の最低と最高で3倍以上の格差です。そういった事態をなくしていかないといけないと思います。
 
 医療人材、医師数、看護師数が欧米に比べて圧倒的に少ないという認識は与野党問わずやっと去年の後半にできたと思います。ただ、医療費をどれだけ上げるべきかという考えは、民主党はコンセンサスがありますが、自民党はバラバラだと思います。病院スタッフの中で一番数が多いのは特別な資格を持たない職員であり、世界共通ですが、診療報酬を2.7%下げた02年からどんどん数が減っています。その分を看護師が補い、さらにそれを医師が補うという悪循環に陥っています。つまり病院の総収入が減少したら資格を持っていない人を雇えなくなったということです。病院の総収入が減るとサービスが低下し、過重労働を招くということの表れで、これを上げなければいい医療が提供できないでしょう。
 
 もう一つの例です。社会保険病院は、その後の整理統合、売却を見据え、平成15-17年度の間、経営効率化を徹底的に図りました。その結果、17年度は49社会保険病院の中で赤字はゼロでした。ところが平成18年度にマイナス3.16%の診療報酬改定があり、赤字の社会保険病院が一気に14に増えました。これは経営効率化を徹底した病院の総収入が減ってしまったら病院経営は不可能であることの一つの証明です。効率化や無駄を省くことは大事ですが、もう限界だという認識です。このため、診療報酬も含めて医療費を上げていく必要があるという結論が出てきます。
 
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