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ニュース〜医療の今がわかる

国立大学医学部長会議が自・民・公に要請書


この鈴木氏のやりとりが面白かったのでご紹介する。

嘉山
「民主党は、医療に関しては、かなり現場の問題を把握しており、具体的な政策が盛り込まれている。国民が納得する医療を実現できる可能性を感じさせる。教育に関しては、新臨床研修制度の強制というのを外していないのが気になる。関連する現場の問題、基礎研究の崩壊や高度先進医療の衰退傾向が十分には理解されていないと感じられ残念である。それから特定機能病院の診療報酬増額や借入金の問題もマニフェストから消えていて残念だ。ただし運営費交付金や教育費の問題を国際的基準をもとに提言しており、大いに評価できる、とこういうことになった。自民党の方は記載がないので評価しようのないところが多かった」

鈴木
「基本的に本日のご要望は私どもの方向と一致する。今までもご指導アドバイスをいただいてきたのだから当然ではあるが、いずれにしても同じ方向なので、仮に政権を担うことになれば、そのように取り組んで参りたい。

マニフェストに関しても、私どもの真意をご理解いただき適切な評価をいただきありがたい。自民党のものはマニフェストになってないのに、メディアなどにそれを無理やり比較されて困っている。

一点だけご説明したいのは、マニフェストというのは、そこに盛り込むことによって予算の配分変更について、国民との約束だからということで関係省庁を説得したり、減らされる層を代表する議員を説得するのに必要なもの。基本的に一省庁でできる話は書く必要がないし、予算を伴わないものも書き込む必要はない。こういったことをマニフェスト学者以外が誰一人として理解していない。経済同友会が民主党のマニフェストにはビジョンがないと言ったけれど、ビジョンと称して絵空事でやってきたことに終止符を打とうというのがマニフェスト選挙。我々は極めて原則に忠実にマニフェストを作った。日医が『書きすぎ』と言ったらしいが書くということは国民に対して約束するということであり、書きすぎなどということはあるはずがない。100億円オーダーの予算は省庁内の組み替えでできる。大臣の裁量だろう。1000億円を超えてくると再配分が必要になる。

そもそも裏話を申せば、我々はもっと詳細なマニフェストを準備していた。しかし、メディアとの関係で、細かすぎて分からないというので半分くらいまで減らした。我々は常に分かりやすさと正確性のトレードオフに悩んでいる。国民に伝わるということと正確さのバランスで悩んでいる。自分たちが書類を読まない人たちは、『こんなの誰も読まない』という。他人も同じだと思っているのだけれど、現実には医療界の方々は「てにをは」まで細かく読み込んでくる。全体の中で医療福祉だけが異様に細かく多くなってしまった分、少し減らさざるを得なかったということだ。

いずれにしても、一番大事なのは教育体制の強化をお願いしているのだから、その財源は確保しなければならない。大学病院に対してトータル1000億円ぐらいは積算根拠の中に入っている。それでも、なお現場の皆さんにはボランタリーに働いていただかないといけない部分もあるだろうが、財源は確保する。

臨床研修は予算が増えるわけではないから、厚生労働大臣と文部科学大臣が相談すれば何とでもなる。それから医療安全に関しては私どもは法案骨子まで出している。マニフェスト以上の段階まで進んでいるのが法案骨子だから、これも書き込む必要はない。地域医療を担う所への診療報酬の手当てを、2年後に1.2倍にすることは積算根拠の中に入っている」

嘉山
「日医がそれに反対している」

鈴木
「そこは調整しないといけないが、増額の対象にはほぼ大学病院は全部含まれることになる。来年4月にいくらというのはまだ決めていないが、1.1倍から1.2倍なのか、1.05倍からなのか、1.15倍からなのか、その辺りは選挙後に詰めたい。8月2日投開票だったらマニフェストに書き込もうと思っていたのだけれど8月30日投開票になってしまって概算要求が終わってしまっている。若干の改定要求はするが、全部というのは難しい」

嘉山
「ベクトルさえ見せてくれれば、若い人はついてくる。1年待てばいいんだという希望さえ示せれば」

鈴木
「もちろん来年度もゼロ回答はない。ただ、金額はお任せいただきたい。マニフェストというのは採点されるのが前提なので、我々はミニマムゴールしか書いてない。ストレッチゴールは加点対象、ミニマムゴールを達成できなかれば減点という風に思っている。

もう一つの研究基盤の問題は非常にヤバイと思っている。たとえばインフルエンザワクチンの問題でもそうだけど、なぜきちんと開発できないんだと言ったって、長年そこをおろそかにしてきたツケが出ているだけだ。

(略・・・戦略研究支援プログラムのこと)」

安田
「大学に基礎の研究者がいなくなったのは、若手臨床医が臨床研修制度で大学からいなくなったのともリンクしている。最初から基礎に行くという人ももちろんいるけれど、伸びる研究者というのは一度臨床をやった後で基礎へ転向する。大学に大勢いれば必ずそういう人が出てくる」

鈴木
「iPSの山中教授も、中村祐輔教授もベイラーの松本慎一教授も皆そうだ」

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