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「医師への教育的観点から問題ある」 ─ DPCヒアリングまとめ


[ ヒアリングでの主な指摘事項等 ] ─ 厚労省
 

1. 再転棟の割合が多い病院
① DPC算定病棟と回復期リハビリテーション病棟等との入院の基準について、病院の方針はどのようになっているのか。
② 急性期の病棟と回復期の病棟が同一施設内にあって、その間を頻回に行き来することは好ましくないのではないか。
 
2. 特定の診断群分類において、診療内容が他の医療機関と比べ大きく異なる病院

(ⅰ) 診断群分類「130100」播種性血管内凝固症候群(DIC)の出現割合が他の病院と比較して非常に多い病院
① レセプトや様式1等において、診断根拠が分かる情報を入力することを求めるべきではないか。その場合、臨床現場の負担も考慮すべきではないか。
② 当該診断群分類について、ある程度重症の症例と、重症ではなくても早期から積極的に治療を行つた症例を適切に評価する方法について検討する必要がある。

(ⅱ) 診断群分類「180010」敗血症の出現割合が他の病院と比較して非常に多い病院
① DICや敗血症は、重症になる可能性がある疾患であり、必ずしも診断基準に合致しなくても、早めに判断して治療する場合もあり、こうした場合も配慮した評価方法を検討するべき。
② 敗血症については、小児科の症例とそれ以外でやや異なる面もあると考えられるので、データを分析し、必要に応じて診断群分類点数表の見直しを検討するべき。

3. 後発品医薬品等の薬剤の使用状況が、他の医療機関と比べ大きく異なる病院

(ⅰ) 使用割合が全国平均と比較して非常に多い病院
① 後発品の導入の際に苦労した点は何か。
  → 医師の理解を得るのに苦労した。中長期的な計画を立て、医師の理解を得つつ、毎年、少しずつ導入を図った。
② 先発医薬品から後発医薬品に切り替える際に、患者とのトラブルにならなかったか。
  → 問題事例はない。
③ 非常勤の医師等が診療する際に、類似の名称の医薬品と取り違える等の問題は起きなかったか。
  → 問題事例はない

(ⅱ) 使用割合が全国平均と比較して非常に少ない病院
① 医療費は限られており、必要な部分に医療費を配分するため、節約可能な費用については節約するという考え方から、国として後発医薬品の使用を促進している。
 ▼ 保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官の発言の要約。
② 後発医薬品については、治療学的に同等であることを証明することで認可しており、欧米においても、この考え方は同様である。
 ▼ 磯部薬剤管理官の発言の要約。
③ 医薬品に問題があった場合、原因を究明しなければいけないので、そのような事例があった場合には、厚生労働省に報告してほしい。
 ▼ 磯部薬剤管理官の発言の要約。
医師への教育的観点からも、特定機能病院で後発医薬品の使用が進まないのは問題がある。
 ▼ オブザーバーとして出席した邉見公雄氏(全国自治体病院協議会会長)の発言を要約したものと考えられるが、厚労省の意向が色濃く出ている。9月24日のヒアリングで、邉見氏は次のように発言した。
 「やはりドクターでなかなか賛成しない人が一杯いる。その中でも、私も礒部管理官に申し上げたが、医学、薬学教育の中でジェネリックというのは1行も1コマもない。その辺を直してほしいと申し上げたが、それが別の(文部科学)省ですね、という話になってしまう。いわゆる縦割りということで。ここはですね、最後はですね、『院長がジェネリックやないか』などと言われたので私も辛いものがありました。だから、世間一般がジェネリックを認めていない、薬剤師も。事務は薬価差が少ないとか、いろいろなことを言って進まないわけだが、やはり、諸外国と比べると数量も金額も低い。だから、一番の問題は、(中医協)薬価専門部会でも(意見が)出ましたが、DPCに一番初めに入った大学病院、特定機能病院が進んでいないんですね。やはり、どこの病院(の医師)も、しばらく大学にいてから来る人が多いわけですから、そこがちゃんとやらないと、これはジェネリックが進まないんですねぇ。そうしますと、国策に反している国立大学ということになりますので......、ぜひ、その辺のところはお考えいただきたいと思います」

⑤ 安全性についての公表データも増えてきている。
  ▼ 磯部薬剤管理官の発言の要約。
⑥ 各診療科に判断を委ねるばかりではなく、病院全体として後発医薬品の使用に関して方針を定めるべき。
  ▼ 西岡分科会長の発言の要約。

4. DPC導入前と導入後で、診療内容が大きく変化した病院
① DPCに参加する前であっても、効率化を進めることは可能だったのではないか。
② 効率化することにより、医療の質や患者の利便性について、何か問題は起きていないか。
  → 特に問題となったことはない。
③ 持参薬を用いることも多いと考えられるが、医療安全等に配慮すると、薬斉り師への加重が大きくなると考えられるが、どのように対応しているか。
  → 安全性や病棟運営のため、薬剤師による確認や電子カルテヘの入力等の対応を行っており、薬剤師の負担は増加している。

5. 平成20年度調査のデータ提出期限を守れなかった病院
① DPC制度において、期日までにデータを提出することは基本的なことである。
② データが非常に重要であり、不測の事態への対応ヽ想定し、病院組織全体として十分な体制をとるべき。
③ DPCでは提出されるデータは標準化されているが、元の電子カルテや退院サマリが標準化されていないという問題がある。

6. カルバペネム系または第4世代セフェム系の抗生物質を投与した患者の割合が非常に多かった病院
① 指定抗菌薬の届け出制度を行うことで、適正使用は図れたのか。
  → ただ届け出制にすれば良いというわけではなく、指定抗菌薬を投与する際に、届け出を書くことが意識されるような工夫が必要。
クリニカルパスの内容について、適切にレビューを行うことが必要。
③ 今回は、抗生物質についてヒアリングを行ったが、医療の標準化や質の向上の観点から、各医療機関で、他の診療内容についても検討を進めて欲しい。


【目次】
 P2 → [ 医療機関からの主な意見 ] ─ 厚労省
 P3 → [ ヒアリングでの主な指摘事項等 ] ─ 厚労省
 P4 → 「医学教育という面がかなり重要な役割」 ─ 西岡分科会長
 P5 → ヒアリングのまとめ ─ 厚労省

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